医療行政トレンド解説 No.5 医療行政トレンド解説 No.5 (オンライン版)
1999/05/01 発行

「医療における情報提供」と診療情報開示
関 連 年 表
81年 世界医師会(WMA)「患者の権利に関するリスボン宣言」(1995改訂)
1995.7.27 (財)日本医療機能評価機構設立
 (*99年3月現在の認定証取得:全国186病院、県内2病院)
1997.6.25 厚生省通知「診療報酬明細書等の被保険者への開示について」
1998.6.18 厚生省「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」報告書
1998.12.25 医療審議会「医療提供体制の改革について」(=医療法改正素案)中に、
 「カルテ等の診療情報の提供の在り方について」が盛り込まれる
1999.2.26 日本医師会「診療情報提供に関するガイドライン検討委員会」最終報告

◎「医療における情報提供」の諸相

げんざい、「医療における情報提供」として議論が行われているのは、次のような事柄である。(1)広告規制の緩和 (2)医療機能の第3者評価 (3)インフォームド・コンセント推進 (4)患者への診療情報開示 (5)医療機関間での診療情報提供 (6)医療情報の電子化(電子カルテ、遠隔診療等)…。
このうち(1)(2)は医療機関を選択するための情報に関わるもの、(3)(4)は患者本人の診療情報に関わるもの、(5)にはその両方の側面があり、(6)はこれらを支援するための技術的なテーマである。

◎背景

こういった事の背景として、次のようなことがある。

1. 人権意識の高まり
消費者運動などと軌を一にして「患者の権利」という考え方が定着してきた。患者が自身の受ける(受けた)医療について「知る権利」は、その重要な一部をなす。インフォームド・コンセント(説明と同意)という事もさかんに言われるが、最近では更に進んで、インフォームド・チョイス(説明と選択)がキーワードとなってきている。

2. 量から質へ ─── 医療政策の目標転換
戦後日本における医療政策の基本的テーマは“量的整備”だった。国民皆保険制度創設を典型として、国民の医療へのアクセスを確保することに最大の眼目が置かれていた。
しかしそれがほぼ達成された今、高齢社会化に伴う医療費増大を背景として、“医療の効率化”へと政策の主目標が変わってきている。「3時間待ちの3分診療」のような医療のムダを解消するため、医療機関には「機能分化と棲み分け」を要求し、患者には医療機関情報にもとづく「適切な受診行動」を求めている。

3. 医療機関間の淘汰推進
2.のことは、見方を変えれば、医療機関間の淘汰を推進しようということに他ならない。
患者が医療機関を選択する上での情報を提供する仕組み(広告規制緩和、医療機能の第3者評価etc. )を作りましょうということは、別の言い方をすれば、「患者に選択されない医療機関は潰れて下さい」となる。これが“質的整備”のシビアな真実である。

◎方針

以上を踏まえると、われわれにとっての課題は単純である。すなわち「求められる医療機能をクリアすること」に尽きる。「求められる医療機能」の中には、すでに本連載で述べた急性期-慢性期病床の施設基準が含まれる。また、本号中に書いた、患者の診療情報についての説明要求に対しての「説明機能」もまた、この「求められる医療機能」に含まれることは言うまでもない。


タイトル一覧へホームページに戻る掲 示 板mailto:BXJ05037@nifty.ne.jp