医療行政トレンド解説 No.6 医療行政トレンド解説 No.6 (オンライン版)
1999/06/01 発行

薬剤費自己負担の推移

 来月7月1日より、外来診療に係る老人の薬剤費別途負担がなくなる。これが決まったのが昨年12月。日本医師会と自民党との間の「政治決着」だった。また、この4月、自民党は導入の検討がされていた「薬剤定価・給付基準額制」(=日本型参照価格制)案を突然、白紙撤回した。この案が97年与党協(自・社・さ)から厚生省医療保険福祉審議会へと、連綿と煮詰められてきた案であったにもかかわらず、である。
 いったいこの間の動きは何だったのか。また今後はどうなるのか。今回はこのあたりを整理してみる。


◎外来一部負担の推移

老人(70才〜)一般(〜69才)備  考
〜1997年8月定額負担
(月1回、\1,020)
原則定率負担
(健保本人は1割負担)
1997年9月〜定額負担
(1日\500、月4回まで)
※99年4月より 1日\530
+薬剤費別途負担
原則定率負担
(健保本人は2割負担)
+薬剤費別途負担
<薬剤費別途負担>
*内服薬(1日当)
 1種類   0円
 2〜3種類 30円
 4〜5種類 60円
 6種類〜  100円
*頓服、外用(略)
1999年7月〜定額負担
(1日\530、月4回まで)
※薬剤費別途負担廃止
上と変わらず
2000年4月〜定率1割 ??
薬剤負担は???
薬剤に診療費と別途に
負担率を設定???
介護保険スタート
(自己負担1割)

◎推移のまとめ

  1. 97年9月の健保法改訂は、もともとは、当時差し迫っていた健保財政のパンクを回避するための「緊急避難」だった。
  2. 主な改訂点は、健保本人負担率変更(1割→2割)と、薬剤別途負担導入。
  3. 薬剤別途負担導入のねらいは、薬剤使用の抑制(とりわけ高薬価薬の)。
  4. これら改訂自体は、2000年を目処とした「医療保険制度抜本改革」までの“つなぎ”と位置付けられた。
  5. この薬剤別途負担の評判は非常に悪く、日医-自民党間の政治決着により、老人に関してのみだが、この7月からの廃止が決まった。
  6. 一方、このかん医療保険制度抜本改革の一環で、薬価制度については、「薬剤定価・給付基準額制」が有力視されてきた。
  7. このうち、給付基準額制とは、薬効ごとに給付基準額を決め、薬価が給付基準額以下の場合は定率負担、薬価が給付基準額を越える場合は定率負担に加え、基準額よりのオーバー分が自費となる制度。
  8. しかし、この案もすでに撤回された。現在は、診療費を薬剤部分と薬剤以外とに分け、それぞれ別の定率負担とする案なども検討されているというが、先行きはまったく不透明。
  9. 他方、老人に関しては、ひとつの基準として「1割」というのがある。
    何故ならば、介護保険の場合、介護サービスに係る自己負担率が1割だから。

◎結 論

薬剤費自己負担の行方はまるで分からない。
さしあたり、この7月からの老人薬剤別途負担がなくなることにより、これまで既に同負担のなかった外総診( 老人慢性疾患外来総合診療料)の患者にとって、診療費支払いの面での、他の老人患者に対する“優位性”が消えることだけ押さえておいたら良いだろう。


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