医療業界トレンド解説 No.9 医療業界トレンド解説 No.9 (オンライン版)
2001/01/02 発行

外来一部負担の推移

本年1月1日より、健康保険法等改訂により老人の医療費自己負担が原則として1割負担になった。3年4ヶ月前の1997年9月、健保法等の改訂(健保本人の1割→2割への負担割合変更等)がなされて以来、薬剤費別途負担が導入されたり、それが老人のみ廃止されたり、迷走を続けてきたわけだが、今回の改訂は医療機関の規模によって扱いが違うなど、さらに複雑きわまりないものになっている。

本号ではさしあたり外来一部負担に絞って、この数年間の制度の変化をたどってみる。
(*今回の改訂により、老人の自己負担は入院も1割となった……)


◎外来一部負担の推移

 老人(70才〜)一般(〜69才)備  考
〜1997年8月定額負担
(月1回、\1,020)
原則定率負担
(健保本人は1割負担)
 
1997年9月〜定額負担
(1日\500、月4回まで)
※99年4月より 1日\530
+薬剤費別途負担
原則定率負担
(健保本人は2割負担)
+薬剤費別途負担
<薬剤費別途負担>
*内服薬(1日当)
 1種類   0円
 2〜3種類 30円
 4〜5種類 60円
 6種類〜  100円
*頓服、外用(略)
1999年7月〜定額負担
(1日\530、月4回まで)
※薬剤費別途負担廃止
(国が立て替え払い)
上と変わらず
2001年1月〜原則として定率1割
ただし支払額には上限あり

*診療所、200床未満の病院:

3,000円
*200床以上の病院:
5,000円

 ※診療所は定額も選択可

薬剤費別途負担正式廃止

薬剤費別途負担は当面
継続
(2002年までに廃止)

◎推移のまとめ

  1. 97年9月の健保法改訂は、もともとは、当時差し迫っていた健保財政のパンクを回避するための「緊急避難」だった。

  2. 主な改訂点は、健保本人負担率変更(1割→2割)と、薬剤別途負担導入。

  3. 薬剤別途負担導入のねらいは、薬剤使用の抑制(とりわけ高薬価薬の)。

  4. これら改訂自体は、2000年を目処とした「医療保険制度抜本改革」までの“つなぎ”と位置付けられたが調整は難航し、「抜本改革」実施は現在、先延ばしされている。

  5. 薬剤別途負担の評判は非常に悪く、日医-自民党間の政治決着により、老人に関してのみだが1999年7月、廃止が決まった。

  6. 一方、このかん医療保険制度抜本改革の一環で、薬価制度についてはいわゆる参照薬価制(薬剤定価・給付基準額制)が浮上したかと思いきや頓挫した。

  7. そして紆余曲折のすえ、本年1月の改訂となった。
    老人の一部負担金への定率制(1割)導入の趣旨は「コスト意識の喚起」とされている。

  8. 他方、今回の改訂では、定率制が導入されたとはいえ、過度の負担増を避ける観点から支払い上限額が設定されているものの、それは「大病院への患者集中の是正」との趣旨により、医療機関の規模により上限額に差を設けるものとなっている。

  9. また、診療所に限っては、選択により定額制(1回受診ごとに800円、月4回まで)が残せることとなった(ただし選択は医療機関毎であって、患者毎ではない)。

     ※今回の改訂について、もう少し詳しい図はこちら → 老人自己負担改訂点


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