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カンパネラ写真
激動のStory in "La Campanella"   
 激動の人生をカンパネラに求めて

La Campanella
リスト作曲 ラ・カンパネラ。
イタリア語で「鐘」という意味。
ピアノ曲の中で一番好きな曲です。カンパネラという曲名は知らなくても聴けば、ああ聴いたことある、と言うと思います。

教会の鐘をイメージした曲らしいですが、結婚式の鐘の音のような穏やかな幸せな気分がする鐘の音はこの曲からは感じられません。
もの悲しい旋律の中に火事のときの鐘や、いくさが始まる合図の鐘の音のように鬼気迫る迫力を感じます。

先生の勝手なイメージですが、この曲を聴くと、ひとりの男の激動の人生が走馬灯のように頭の中を駆け巡ります。

平凡な家庭に生まれ、平凡に青年へと成長し、愛する女性と結婚し、愛しい子供に恵まれるなか、生活には山あり谷あり苦労をしながらも小さな幸せな人生を送っている。しかし、戦争に巻き込まれ祖国のため、家族のために命を懸けて戦うことになる。
なんかそんなストーリーが思い浮かぶのです。

そういう自分勝手なストーリーに合う弾き方をしてくれるピアニストは数少なく、コンクールで優勝してうまいんだろうが冷徹で冷たいロボットのようなカンパネラはたくさん聴いた。
そんなピアニストが多い中、気に入っているカンパネラ弾きは2人。

一人目はフジコ ヘミング( Fujiko Hemming)。

フジコさんは今や80過ぎのお歳になりました。ですがそれゆえに人生経験の豊富さ、そしてまた彼女自身の激動の人生が彼女のカンパネラから聞えてくる気がします。
彼女は両耳の聴力をほぼ失い音楽家としては絶望の崖っぷちにたたされながらも努力と不屈の精神で音楽家に復帰します。今は片方の耳は少し聞こえるそうです。
彼女の弾くカンパネラは譜面に忠実でないなどと専門家からは受けがよくなかったりしますが、そんなことはどーーーでもいい。
少しゆっくりめで穏やかに始まりますが温かく、情緒にあふれた情熱のカンパネラはフジコさんの人生そのものという感じでジーンと涙がこみ上げます。
しかし、自分にとってひとつだけ残念なのが、最後のクライマックスでの迫力が足りない感じがします。



2人目は、バレンティ-ナ・レシッツア (Valentina Lisitsa)


最近ニュースでよく見聞きするウクライナ出身のピアニストです。
彼女のピアノはまるで手品を見ているかのよう。
柔らかくなでるようなタッチでありながら、正確でしなやかなムチのようなタッチ、ときには鍵盤が割れんばかりに激しくたたきつける。だがロボット的な冷徹さを少し感じる。
フジコヘミングさんのカンパネラに不満をもっていたラストのクライマックスではそれは激しく、ピアノがぶっ壊れるほど激動の人生を表現してくれます。

あなたはどちらのカンパネラが好きですか?

 ↓フジコさんの激動のカンパネラ

↓バレンチーナさんのカンパネラ




お二人ともピアノの前に楽譜がないことに気がつきましたか?
このカンパネラだけではありません、どの曲を弾く時も譜面は見ません。
譜面を見て弾いているうちは自分の情熱を表現できませんから。
完全に頭の中に入っていて、自分の血となり肉となるまで弾きこんでいるのです。
ここまでなるにはおそらく何万回も弾いて練習したはずです。

ある歴史の先生は言っていました。
はじめは年号を暗記しないで理解しようとしたが、どうしても理解できなかった。しかし、年号をすべて暗記したらうそのように理解することができた、と。

韓国ドラマ「チャングム」の中で医師の先生が、自分の力量に慢心して失敗したチャングムに言います。
お前は何度もわかったというが、本当にはわかっていない。血となり肉となるまでたたきこむのだ。

君たちが漢字を覚えるとき、英単語を覚えるとき、何回書きますか?
20回書きなさいと言ったら、え-!と言うでしょう。
体育の授業でバスケットの練習するのと漢字を50回書くのとどちらがしんどいでしょう?
たった50回で「え--!」と思う人は、絶対覚えなければという意思がない証拠です。

ピアニストは難しい長い曲を何万回も練習します。
人に言われてではなくて、自分から、自分が納得いくまで。

それに比べたら、単語を100回書くことや英語の教科書を100回読むことぐらいは楽な作業だと思いませんか。

覚えたと言ってすぐに確認テストしたら何個も間違える、そんないい加減な覚え方ではほんとのテストのときにはいっぱい忘れてます。
血となり肉となるまで繰り返し、繰り返すことを覚えてください。

20回書いて覚えられなかったら30回書けばいい。
30回で覚えられなかったら50回書けばいい。
覚えられないからといって自分は頭が悪い、なんて思う必要なない。
50回でだめなら100回書けばいい。
1万回に比べたらたった100回。
そんなに身構えることはない。楽な作業です。気楽に。

必要なのは、本当にやらなければならない、と思うこと。
そして実行力。
実行力のある人間は必ず結果を出せる。



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