≪招待講演 要旨≫


山岡 均『 彗星発見の夢 ― 最近の天体発見動向 』
 
 彗星発見は、天体に自分の名前を付けることができる唯一の手段だ。日本では
昭和初期以来、数多くの彗星が発見されてきた。彗星発見は、敗戦後の日本人
を鼓舞したり、天文学への市民の興味をかきたてるなど、社会への影響も大き
い。しかし近年は、研究者による全天サーベイが盛んとなり、彗星ハンターに
よる発見は困難になってきたと言われている。講演では、他種類の天体発見と
合わせて、彗星発見の現状と今後について考えてみたい。


≪口頭発表 要旨≫

中村彰正 『2013年の彗星発見・観測のまとめ』


 2013年に発見または検出されて符号が振られた80個の彗星について、
その発見事情を一覧表として示し、最近の傾向について解説する。また、
これらの彗星の軌道要素を掲げ、特異な軌道を持つ彗星についても触れる。
次に2013年に行われた位置観測について、天文台別・彗星別のランキングを
紹介するとともに、光度観測については、ICQに報告された国内の観測数
の観測者別のランキングを示す。

吉田誠一 『2013年の主な彗星の光度変化』

 2013年度に観測された主な彗星について、光度変化を振り返る。明るくなった
彗星、突発的な変化を見せた彗星、特異な光度変化を見せた彗星などを
紹介する。

長谷川一郎 『短周期彗星の特徴』

 現在登録されている彗星の発見は、1970年ころから急に多くなり、
今では299個になっている。その中にはいろいろな種類のものがあり、
彗星と思われる小惑星で登録されていないものもあり、小惑星と彗星の
両方のカタログに入っているものもある。 そして発見時の絶対光度の
暗いものが見つかっているようである。 彗星の軌道には、惑星、特に
木星の影響を受けているものが多いことが既に指摘されているが、例えば、
遠日点距離に木星と海王星の影響が見られるなど、統計的な結果について
述べる。

菅原賢 『ボートルの限界についての考察』

 大彗星として期待を集めたC/2012 S1(ISON)は、近日点通過時に急減光し
姿を消した。「消滅」と表現されるこの現象は過去にも観測されてきたが、
原因については未解明な点が多い。Bortle(1991)は、近日点距離qが
0.5(au)以下の力学的新彗星についての統計に基づき、H=7.0+6q [ H:
日心距離r=1(au)における絶対等級 ]という関係があり、Hより暗い絶対等級
の彗星は消滅することを示した。本研究では、この経験式の物理的意味
を数値シミュレーションにより考察した。その結果、H2O氷の蒸発により
核が収縮するという単純なメカニズムでは、彗星核は「消滅」しないこと
がわかった。彗星の運命を決める要因はどこにあるのか? いくつかの
仮説を提案する。

宋柯乙 『DSLRによるアイソン彗星の解析と分析』

 11月の中,末に燦爛(さんらん)に輝いたアイソン彗星をDSLR(Olympus E-PL5,
300mm Zoom Lensで観測し測定して(Rawファイルをfitsファイルに変換し位置,
光度,コマ,テイル測定) ICQ-format code, SOHO swan dataなどと比較した。


鈴木文二 『ダストテイルの偏光観測』

彗星ダストの物理的特性は、シンクロン・シンダインに代表される力学的
な知見と、偏光観測による物性的な知見から、総合的に理解される。
前者は、通常の撮像観測と計算結果をフィッティングすることにより、
広視野撮像というアマチュアの持つ機器を活かした成果が出ている。
しかし、後者は、測光精度の限界まで要求される観測であるため、
今まで容易に結果を導きだすことができなかった。ところが、最近の
デジタルカメラの高感度化により、この観測が可能になってきた。
今回の発表は、彗星のダストテイルのように広がった天体の偏光観測を、
実例をもとに、その解析手法と理論的な解釈について触れる。

【ポスター発表】

酒 井  栄  『 アイソン彗星の軌跡と新聞報道 』

竹田 賢二 『 ★TNK★で広げるお手軽直焦点天体写真 』

内那 政憲 『 SOHO彗星捜索の手順と最新の検出状況 』

津村 光則 『 2013年の主な彗星 』

織部 隆明 『C/2012 K1(PANSTARRS)中心部の連続測光観測』