< 電 気 工 学 > |
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交流(Alternatind current 略号A.C.) |
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現在、電気は直流も交流も使用されていますが、交流は直流に比べあらゆる点で有利なので、小電力から大電力まで日常我々の回りで非常に多く用いられています。
何故交流が使用上便利なのか?
・電圧の昇降が変圧器で簡単に出来る
・大電力を送るのに都合がよい
・電線の量が少なくてすむ
・三相交流と云う便利な方法があり、機械の製作が有利になる
・交流は簡単に直流に帰ることが出来る
以上のような事から、一般家庭に送られる電気は勿論、工場の動力や電灯などは殆ど交流で電気の基本は交流だと云ってもいいようである。
交流とはどんな電気なのか?
直流である乾電池を流れる電流と交流である電灯などに流れる電流を比較してみますと、懐中電灯の電流の場合には、時間の経過とともにその電流の大きさも変わらない。
これに対して、電灯に流れる電流交流(Alternating Current])の場合には、時間とともに大きさも向きも変化する。しかもその変化が周期的に規則正しく行われる。
これが、「直流(D.C)」と「交流(A..C)」の違いです。
この変化の状態を一目瞭然に表したものがはけいである。
現在最も広く用いられている交流の波形は、正弦波(sin wave)である。
一般に図のような交流正弦波の電圧値や電流地を示すのに、これらは時々刻々かわっているため、これらのうち代表的な位置の値のものを考えるのがふつうである。
・最大値(peakまたはmax) 最大の時の値
・尖々頭値(peak to peak)
・瞬時値 交流の値は各瞬時毎に変化しているので、各瞬時の値のこと
・平均値(mean) 正弦波をおいた場合にこの半周期における時々刻々の変化を平均した値のことである。
平均値=0.637×最大値
・実効値(r.m.s.) 周期的に変化する電流または電圧によって生じた電力と等しい電力を与える
等価的な直流電圧 実効値=0.707×最大値 実効値=平均値×1.11
日常我々が使っている交流の電圧や電流は特に断らない限り実効値を云っている。

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皮相電力 |
交流は電圧と電流に位相差があり、電圧の変化と電流の変化は必ずしも一致していないから、電圧と電流の積VIは、それがそのまま仕事をする電力とはならない。しかしこれは実際に機器に加わる電圧と機器に流れる電流の積であり、見かけ上の電力と考えられる。これを皮相電力という。
皮相電力=電圧×電流=VI〔VA〕
皮相電力の単位は、ボルトアンペア〔VA〕又は1,000倍の単位のキロボルトアンペア〔KVA〕を用いる。皮相電力は変圧器など機器の容量を示すのに用いられる。
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交流の電力と力率 |
上で述べたように交流では、電圧×電流は皮相電力であり、本当の電力ではない。
交流の電力はP=EIcosθとして計算される。
皮相電力が電力となる割合を力率(Power factor)と云う。交流回路にEボルトの電圧を与えて電流 I アンペアが流れたとき、電源から与えられた皮相電力はEI ボルトアンペアだが、この時の負荷電力PはEIcosθわっとだから、これらの関係は
P=EIcosθ
電力=皮相電力cosθ[W]となる。
したがってcosθは皮相電力が電力になる率を表すので、これが力率である。
すなわち
力率=cosθ=P=電 力
EI 皮相電力
と云う事が出来る。
■有効電力
実際に仕事をする電力となるのは、電圧と同じ方向の電流成分IcosθとVとの積である。これを有効電力という。
有効電力P=V×Icosθ=VIcosθ〔W〕
単位はワット〔W〕またはキロワット〔KW〕を用いる。
交流の電力といえば有効電力を示す。
■無効電力
送られてくる皮相電力は、実際に仕事をする有効電力と、電力としての仕事をしない無効電力に分けられる。
無効電力は、電流の無効分であるIsinθとVとの積として表される。
無効電力=V×Isinθ=VIsinθ 〔Var〕
単位はバール〔Var〕、またはその1,000倍の
キロバール〔KVar〕を用いる。
■力率の意味
三つの電力の間には、下図のような関係がある。
すなわち、有効電力と無効電力のベクトルの和が皮相電力となる。
また、力率は有効電力の式より
COSθ = P = 有効電力
VI 皮相電力
力率とは「皮相電力の何%が有効電力となって仕事をするか」を表している。
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