PAというと、一番先に思いつくのは、やはり、コンサートやライブでの音響設備ですが、
本来PAとは、Pablic Address のことで、そのまま訳すと、「大衆伝達」とでもいう意味になります。つまり多くの人に、音を拡声して伝えていく、ということです。
ですから、さまざまなものが、PAとして考えられます。駅の構内放送、電車の車内アナウンス、商店街のお知らせ(?)放送、選挙の演説カー、これらもみんな、PAの仲間なのです。
そんなPAのなかでも、単に音を伝えるだけでなく、演出面を考え、聴く側に感動をもたらそうと、進化してきたのが、コンサートPAなのです。演奏された音を、大きくして伝えることに始まったコンサートのPAは、今ではミュージシャンのパートナーとして、切っても切り離せない仲になっています。
最近では、PAにかわって、SRという言葉も出てきました。これは、Sound Reinforcement のことで、「音の補強」という意味です。欧米では、こちらの言葉のほうがよく使われるようですが、ステージ構成に欠かせない、現在のPAは、補強の役目も越えて、舞台芸術の一分野として、進化しています。
コンサートのPAシステムの難しさは、システムが置かれる場所の音響条件の悪さによって、起こるものなのです。
室内に存在する、壁、天井、床などからのさまざまな反射音。これが悪さをして、音を濁らせ、聴きにくくしています。そこで、PAシステムでは、これらの反射音の影響をなるべく排除し、スピーカーからの直接音をクリアに聴かせることが目標になってきます。
一口に、PAシステムといっても、小は、カラオケ・バックの数十人を相手にしたものから、野外での、数十万人を相手にする大規模なものまでさまざまです。また、コンサートといってもいろいろなジャンルがあります。ポップス、ロック、ジャズ、ゴスペル、クラシック、演歌、や民族音楽等々。これら会場やジャンルの特性に合わせたシステムを考え、設営していくことが、PAスタッフに課せられた任務なのです。
また、PAはやり直しのきかない一回限りの本番の連続です。
レコーディングや放送の収録と最も違っているのがこの点でしょう。その場で行われていることを、その場で伝えていく。だからこそ、エネルギーも高まり、感動も広がるのです。この「同時性」こそがPAの最大の特徴です。
もしも、途中で音が途切れてしまったら、もうどんなに頑張ってもコンサートは成り立ちません。極端にいえば、多少ひずんだとしても、音が出ないよりはマシなのです。
こんなことのない様に、PAシステムには、信頼性が求められます。機材の選択、メンテナンス、オペレーターの知識、トラブルの対処法、などなど、すべてが、確かな信頼性を目指しているのです。
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