実際の音響システムの構成例と、そのセッティングから本番までの大まかな流れに関して、紹介します。
音響システムは、システムというからには、複数の機材が組み合わさって構成されています。従って、音響システムにはさまざまな組み合わせがあるのですが一般的には以下のような機材構成になっています。 音には入り口と出口があリます
a.入力・・・・マイクロフォン・ダイレクトボックス 音声を電気信号に変える。 b.編集・・・・ミキサー 音質・音量などの調節/出力先の選択など c.補正・・・・イコライザー(グラフィック・パラメトリックなど) 会場の音場、ハウリングを補正 d.効果・・・・エフェクター類(リバーブ・コンプレッサーなど) 音の空間的処理など e.増幅・・・・パワーアンプ 会場・スピーカーに合わせて電気信号を増幅 f.出力・・・・スピーカー 電気信号を空気の信号にし、音にする
今回は教会の音響システムということで、毎回同じ場所、同じ機材を扱うということで、セットアップについては概要だけ説明いたします。(アウトリーチなどで他の教会や会場の時の参考にして頂きたい) ★ 機材搬入 このときに必要な機材を必要な場所に振り分けながら運んでいく(もちろん会場の担当者に、一番始めに挨拶しておくのは常識)。 ★ メインスピーカーのセッティング 会場に合わせ会場全体に効率よく音が行き渡るようにセッティングする。また、スピーカーは重量も重く危険であるので、ラッシングベルトで固定したり、危険な場所への設置は避けるべきである。 ★ ハウス・ミキシングコンソール(メイン卓)のセッティング 客席の中央付近にテーブルをおき設置する。このとき電源やマルチケーブルなどが届く場所であること、お客さんの邪魔にならない場所であること。 コンソールが組み終わったら、エフェクターなどの周辺機器のセッティング。 ★ マルチ・ケーブルの引き回し。スピーカーとの結線 ステージ上の全ての楽器の信号は、このケーブルを伝わってメイン卓までやってくる。ケーブルの結線は回線表通りに間違いなく行う。 メイン卓からのアウトを、スピーカーの裏側にあるパワー・アンプに接続。パワーアンプは上手下手に、なるべくスピーカーから近いほうが望ましい。 次にパワーアンプとスピーカーとの結線をする。 ★ モニター・スピーカー、サイドフィルのセティング バンド編成に応じて決められた数のモニターやサイドフィルを組んでいく。 ★ モニターコンソールのセッティング 通常のバンド編成が多いコンサートなどでは、モニター卓を設置する。通常モニターブースは舞台の袖に設置するが、演奏しているミュージシャン全員を見渡せる場所を探さなければいけない。ただし、舞台袖は照明やステージ美術など機材が置かれることも多いので、事前に打ちあわせが必要である。 ★ マイクスタンドのセッティング・結線やDIなどの結線 回線表に準じて、インプットの結線をしていく。 ★ ハウス・スピーカーのチューニング CDを使って、組みあがったシステムのチェックし、スピーカーのチューニングをしていく。 ★ モニター/インプット回線チェック 回線通りにインプットされているかをチェックし、モニター系統が正しく配線され、スピーカーが正しく作動しているか確認する。 そして、ここで最も大切なのがハウリング・ポイントのチェック。スピーカーの向きを変えたり、グラフィック・イコライザーを使って、ピークになっている周波数帯域を絞って、なるべく音量を稼げるようにしておく。 ミュージシャンが本番で演奏する場所に立って、音量、音質を確かめることが必要である。 ★ 楽器セッティング〜マイク・アレンジメント ステージ上にアンプ、ドラムなど、楽器がセッティングされたら、それぞれの楽器にマイクをセットしていく。向きや角度によって音が違ってくるので、このマイク・アレンジメントは十分な経験が必要となる。 ★ サウンド・チェック メンバーがステージ上に上がって、サウンド・チェックを開始する。多くの場合、ドラムから、それもバス・ドラムから始めることが多い。一人一人、その日演奏する楽器で音を出してもらい、音量、音質など決めていく。このときには、ハウスの音と、モニターの音を同時にチェックしていくのである。 ★ リハーサル⇒本番と続いていきます。 RH(リハーサル)は、本番の流れに従って、あらかじめ決められている曲、曲間をチェックしていく。メインの音は、はじめから一度に全部出してしまうのでなく、リズムから、あるいはヴォーカルから、順番に組み立てていく。 モニター・オペレーターは、ミュージシャンの要求に従って、自分でもステージ各所の音を確かめながら、ミュージシャンごとのバランスを作っていく。 全体の音量は、ステージ内の楽器、モニターの音量と、ハウス・スピーカーの音量のバランスで決まってくる。ステージ内の音量が大きくなれば、ハウスの音も濁ってくるし、ハウスの音が大き過ぎれば、モニターが聴こえづらくなる。そのバランスを保てるポイントを見つけるのが、リハーサルでの重要なところである。