2013年度 研究会報告

1.総会・第1回研究会  平成25年6月22日(土) 

会場  高松市中央卸売市場管理事務所会議室(高松市瀬戸内町)
     内容  総会及び講演会等
           ・講演「三位一体(地産地消・和食・自給率)運動で豊かな生活を!」
            講師    香川県中讃農業改良普及センター 担い手育成部門 主任普及員 黒川 幸重
           ・今年度の新事業「水産食育教室実施委託業務」について
             香川県農政水産部水産課 副主幹 大西洋子
           ・アンケート報告 「食べ物の記憶について」 犬飼直美
           ・フリートーク   司会 高嶋タカ子

(1) 総会 9時15分から10時
@ 来賓祝辞 香川県魚市場 (株) 山本敬之 社長
魚より肉を多く食べるようになった。薩摩の香草焼きをレンジでチンして皿にのせるだけで食べられるようなファーストフィッシュを推奨するようになっている。これが美味しいので危ない。ますます魚料理をしなくなる危機感がある。
マレーシアのオーナーシェフ20名が来県した。瀬戸内海の魚を多寡を問わずに出して喜んでもらえた。世界で魚を食べていた人たちが魚離れをし、食べていなかった国の人たちから人気が出ている。
EPPで安い肉が輸入され安い肉と魚との競争になる。魚は歩留まりが悪いので高くなる。瀬戸内海の旨い魚は守れるか。
子供のころ食べた味を繰り返すのが食文化である。小学生に魚の美味しさを刷り込みたい。9月に行われる魚市場のイベントに参加下さい。
A 会長挨拶 宮城公子会長
今年度記念事業として水産食育委託業務を引きうけました。現在会員は100名です。お知り合いの方の入会をお勧め下さい。
また、会報への投稿をお願いします。
最近マダニの被害が出ております。会員の西村和能氏から「アオバアリガタハネカクシ「(あおば、ありがた、はねかくし)の被害の症状、注意、対策、治療について報告がありますのでご覧ください。
B 総会  司会進行         氏
(ア)、事業報告 宮城会長、 (イ)、会計報告 樋口美佐子 氏、( ウ)、監査報告 頼富百合子 氏 
(エ)、今年度事業計画 宮城会長、 (オ)、予算案 樋口美佐子 氏  (カ)役員について 宮城会長
(2) 第1回研究会 10時分から12時15分
@ 講演 講演「三位一体地産地消和食自給率)運動で豊かな生活を!」
       講師    香川県中讃農業改良普及センター 担い手育成部門 主任普及員 黒川 幸重氏
●・ 和食は日本人の生活習慣や体、風土にあった食事である。地産地消を取り入れると食糧自給率は上がる。生産能力が高い、米、野菜、魚を中心とした食生活を実現することで日本の農業は元気になれる。
●・ 日本の食生活は豊かになった。国内外から豊富な食材が提供されこれ以上は豊かにならない。これからは、食の安全 安心、食文化の希薄化、食習慣による健康などが不安である。
●・ 豊かな香川の食材(さぬき米、魚、大豆、乳製品、季節の果物、日本茶、味噌・醤油・塩、油、とうがらし)を使って日本型の食生活を推奨して食育の推進・発展のため「香川県食育推進計画(5年計画)」を実施中。その一つとして、むらの技能伝承士(食生活)による食育の推進をする。
● ・昭和30年代に米は余りだして水田の4割は水稲生産調整している。海外から安価な穀物(している。小麦、大豆、肥料用トウモロコシを輸入。食品単価の9割は流通にかかる経費である。今後、海外との貿易は拡大する。野菜はすでに自由化されているが日本製は新品種も改良されて美味しいものが多い。兼業農家が多いが今後は野菜農家が大型化していく。水田の維持保全は、生産面のみならず、景観・洪水・集落維持など基盤維持し守る必要がある。
● 本当の自給率維持・向上のためには、生産者の確保、生産基盤維持、農業技法の伝承の確保が重要。全人口に占める農民の割合は世界でも1〜3%である。日本3%で不況のため新規就農者が増えている。しかし、穀物生産量は大型大量生産型の欧米農業にアジアの農業はかなわない。
●  和食回帰すれば自給率は上昇する。米(パン)、魚(肉)、野菜(加工用野菜)、果実(ジュース)、茶(コーヒ)、日本酒、ビール、ワイン)、醤油・酢(食用油)
●・ 旬の食材を生かした食文化の伝承、現代に対応した新たな食文化の創造 
  ・生産者と消費者の距離を短くする支援・啓発、生産地表示など
A 今年度の新事業「水産食育教室実施委託業務」について
   香川県農政水産部水産課 副主幹 大西洋子氏
○事業の趣旨「国民健康・栄養調査報告」によると魚介類の摂取量が前年度比77%で年々「魚離れ」が進行している。
  骨がある、食べるのが面倒などの理由が上げられている。子供や子育て世代への消費拡大を図るため、食育教室を開催 する。
○事業の内容
 (1)お魚1匹丸ごと食べよう伝道師の養成。講師を養成して「伝道師」として委嘱する。
 (2)お魚1匹丸ごと食べよう教室を開催。 伝道師が各地域で子供や子育て世代を対象に食育教室を開く。
   魚の構造や栄養の説明した後、焼き魚や煮魚を食べる内容。
 (3)普及・啓発グッズの作成
    教室で使用するための魚の模型、DVD、骨格図、リーフレットなどを作成する。作成は会社に委託する。
A 業務の内容
回数 時期 場所 テーマ・内容 講師 備考
説明会 6/22
(土)
高松市中央卸売市場管理事務所 養成講座の趣旨・計画説明 会長・県職員 総会と兼ねる
1 8/24
(土)
高松市漁連研修センター 魚の構造(さばきかた)と栄養
講義・実習
伝道師希望者への説明
調理師
管理栄養士
会長、県職員
第2回研究会と兼ねる
2 9/28
(土)
高松市中央卸売市場 瀬戸内海の魚の種類や特徴
見学・講義
香川県魚市場社長 第3回研究会と兼ねる
3 11/16
(土)
午前
高松市漁連研修センター 魚の調理方法と上手な食べ方
講義・実習
料理教室主催者
管理栄養士
第4回研究会と兼ねる
4 11/16
(土)
午後
高松市漁連研修センター 啓発グッズの使用説明
模擬授業
「魚1匹食べよう教室」
会長、県職員
伝道候補者


    ※講座生は、当会会員で希望者を募るほか県HPで募集する
    ※養成講座の出席率(3回以上の出席)や意欲等により、10名以上を選定して伝道師名簿を作成する
B 伝道師用テキスト作成    
  会長を中心に原案を作成する。食育教室で使用し、伝道師から修正事項をあげてもらい、適宜修正しながら作成する。
  項目は、食育教室の目的、準備物、役割、タイムスケジュールなど

C お魚1匹食べよう教室
時期 場所 対象者 内容
11月から2月
8回
県内各地 幼児・小学生を中心とする子供、子供を含む集団
子供への指導者となる者
1回あたり原則20名以上
伝道師が講師となり、教室を実施する。
魚の構造や栄養の説明と、実際に魚を食べる実習を行う
  ※具体的な場所等については、伝道師となる者の提案により決定
  ※経費:伝道師への謝礼、材料費、会場代など 1回あたり30000円(魚は準備する)

スケジュール
  A〜Cについて、業務終了までのスケジュール
  6月  7    8        9  10    11      12   1  2    3
A伝道師養成 会員への周知        講座                   報告書   
Bテキスト作成 テキスト案作成    修正
C食育教室 実施場所決定    食育教室

B アンケート報告 「食べ物の記憶について」 犬飼直美
1.実施期間 平成24年10月〜12月
2.対象    高校1年生 100人(女53、男47)
        成人     100人:20〜30代 17人、40〜60代 66人、70代 17人
3.アンケートの内容
 (1)小学生の頃、中学生の頃、20から30歳頃、50から60歳頃、70から それぞれの年代でよく食べた食べ物や料理
 (2)食べ物についての思い出
 (3)集計結果
 (4)考察
   小学生の頃各年代で共通して食べたものは、炊き込みご飯、ばらずし、ぼた餅、味噌汁、焼き魚・煮魚、野菜の煮物
   そう めん、揚げ物。70歳代は麦飯が90%。高校生の麦飯は学校給食の影響で86%。
   40〜60代では、小学生の頃鯨肉、中高生の頃ホットケーキ、空揚げ、焼き肉。食生活の傾向がみられる。
   40代以上になるとなんでもよく食べている。
   食べ物の思い出は興味深い結果が出ている。1950年代から日本では飢餓の心配がなくなってきた。70才以上の人は現    在の食の豊かさに感謝しつつも食べ物を粗末にしない傾向が強いのは、過去の食糧不足の記憶から食べ物を作る人への   感謝の気持ちがあるのではないだろうか。
C フリ−トーク 司会進行 高嶋タカ子 
高嶋タカ子氏より
香川の食に対する思いをフリートーク形式で行いたい。(発表者への高嶋氏のコメントは★印、発表者は●印で記入)
●学校給食に携わり今年退職しました。現在学校給食で扱う魚はレトルトや真空パックのものを調理している。本物の新鮮な頭付魚を扱えるよう要望を出してほしい。給食センターも調理器具をそろえるよう、本会や漁連から呼びかけて欲しい。
★さぬき市は全学校へ出向して魚料理を持ちこんでいる。魚のさばきかた、食べ方を知らない母親が多い。伝道師になる人は児童に魚の食べ方を教えて、好ましい方法で食べさせて下さい。
●食育教室の対象者や会場を伝道師が決めるのは大変である。教育委員会や校長会に働きかけるようなシステムを作ってはどうか。
☆県職員:伝道師認定書を発効して市町村の広報にて広く周知する。教育委員会に周知もする。生物を持ちこむのにはハードルが高い。地元から浸透する、地元から盛り上がる方がハードルが低い。
●この活動の対象は子供だけか。
☆県職員:食べ方を学んでほしいのは子供が原則。家で料理をしないお母さんを対象にするのは別にしている。料理をするのが親子であってもよいがあくまで子供に食べさせたい。子供会、子供に教える立場(幼稚園の先生)が対象となる。
●魚の料理方法を考えなければいけないが
★資料は今後出していく。次回研究会で出す。親子セットで行うのはいいやり方
●外国に魚料理を持ち出すのならば外国の子供を対象に行ってはどうか。
●もったいない文化。食べ残しを是とするか非とするか。持ち帰りの方向で動いている
★毎日の生活の中でおじいちゃんやおばあちゃんからもったいない文化を憶える。

資料 アオバアリガタハネカクシ  今年は例年になく大量発生が予見されます。  西村和能
特徴 は6mmから7mmで細くアリの様。、オレンジ色の体、頭部、腹端し、尾は黒い。上羽はみじかいが下に隠された後羽はたたまれている。
生態 水田、川原、池、沼など湿気のある土壌を好み、昼間は雑草や落ち葉、朽木、石の下に生息。
成虫は5〜10月、盛夏は夜間の灯火に誘引されて人家内に飛来する
害虫 毒液を分泌して人の皮膚に強い炎症を起こす
症状 分泌された体液が付着後、2時間でかゆみ、痛みを感じ、やけどをした時のように赤く発疹、水膨れ、膿ほうがやぶれ て皮膚がむけ激しい痛みとなる。体液が皮膚に着くと色素沈着、目に入ると失明する場合もある。
注意 この虫に触ってはいけない。体に止まればそっと払いのける
対策 虫の姿を憶えて止まられても潰さない。夜は網戸でなく窓を閉める。(明りに寄ってくる)草刈りには肌の露出を避ける
治療 止まられたところや潰したところを石鹸で洗い落して、直ちに皮膚科へ行く。そのままにしておくと2週間以上治らない。