季節の郷土料理

鰆の押し寿司
  鰆は瀬戸内海で獲れる魚で4月から6月が旬で、はれ食(行事食)として使われている。獲れたての鰆の切り身を酢漬けにして用いた押し抜きずしは郷土食豊かな讃岐の味である。昔農家の姑は米と引き換えに大きな鰆を買って、鰆のえらに南天の葉をさして盆にのせそれを持たせて嫁を里帰りさせた。里家では、その鰆を焼き魚や酢魚にして、魚を漬けた酢で新豆入りのかみまぜずしにした。嫁はその日のうちに重箱一杯に押しずしを入れ、焼き魚を竹の皮に包んで婚家に帰った。

材料・分量(4個分)
米 800g 水 1080cc  合わせ酢:酢120cc 塩3g 砂糖100g
鰆 300g 塩3g 酢80cc 卵 50g だし 5cc 砂糖 5g 塩0.5g 油少々
干し椎茸8g 戻し汁40cc
砂糖5g 醤油5cc
新そら豆120g だし45cc 砂糖3g 塩2g
高野豆腐20g だし70cc 
砂糖10g 塩1g 薄口醤油1.5cc
蕗80g だし40cc 砂糖4g 塩1.5g

作り方

1、魚の姿ずし
材料・分量(4人前) 米 480g、水 660g、
合わせ酢 酢 60cc、塩 6g、砂糖 50g
あじ 20匹 塩 12g  酢 100cc 
つくり方
@あじのぜいごを取り、腹を切って内臓を取り出し、頭と中骨を取る。塩をして半日ぐらいラップをかけて冷蔵庫に入れておく。その後、浸る程度の酢に漬ける。
A飯を炊き熱いうちに「はんぼ」に移し合わせ酢を混ぜてうちわであおいでつやを出してすし飯を作る。一人5個に握る。
Bあじの酢を切って手のひらにあじの身の方を上にして広げ、Aをのせて形を整える。
応用 あじの頭をつけたまま作ってもよい。
    あじの代わりにままかり、小鯛を使ってもよい。
備考
 瀬戸内海で獲れる小魚を利用して行事食に工夫したものである。

2,さぬきさつま
材料・分量(4人前) 米 480g、 水 720g、 
細ねぎ 3g、 もみのり少々   
白身魚 80g、 味噌 40g、 
煎りごま  10g、さんしょう 少々
だし 200cc
つくり方
@飯を炊く
A魚を焼いて、頭、皮、骨を取り身をほぐす。
B鍋に頭、骨、水を入れて加熱し沸騰後3分で火を止めてふきんで漉  して.だしを取る。うわずみを取ってもよい。
C味噌をホイルニ1cmの厚さに塗り、弱火のロースターで香りが出る  まで焼く。フライパンにのせて焼いてもよい。
D煎りごまをすり鉢ですりつぶし、焼き味噌、さんしょうを入れてすり合 わせ、だしを加える。全部一緒にミキサーに5〜10秒かけてもよい。
EDを鍋に入れて加熱する。
F熱い飯にEをかけ、小口切りにしたねぎともみ海苔をかける。
応用 
@白身魚として鯛、チヌ、かますなどを用いる。折り詰めの中の焼き魚を利用するとよい。シーチキンを用いると簡単で、若い人も食べやすいA飯の上に刺身をのせたり、刺身の代わりにこんにゃくをのせた上に
 さつまをかけることもあった。日常では麦飯にさつまをかけていた。

3,こうこずし
材料・分量(4人前) 米 480g、 水 680g、 
たくわん(新漬け) 150g 浅草のり 1枚、
合わせ酢  酢 60g、 塩 6g、砂糖 60g、 
つくり方
@飯を炊く。飯が熱いうちに「はんぼ」に移し合わせ酢を混ぜてうちわであおいでつやを出してすし飯を作る。
Aたくわんを荒いみじん切りにして、酢に少々の砂糖を加えたものに  漬けておく。
B飯にAをまぜる。のりを半分に切り、火にさっとあぶる。巻きすで細巻きを作り1本を4〜5個に切る。
 
備考
 大阪から庵治町に伝えられたという。新漬けと新のりを使った早春の味覚である。

カンカンずし

材料。分量(10〜15人分)
 ・米 1600g(カップ10)、水2160cc(米の重量×1.5−酢の分量)
 ・合わせ酢 酢240cc、 塩25g、砂糖200g
 ・鰆250g、塩7.5g、 酢80cc 、はらん、木の芽
作り方 
@飯を炊き、熱いうちに「はんぼ」に移し、うちわであおぎながら合わせ酢を混ぜて、すし飯を作る。
A三枚におろした鰆をさしみのように切り、塩をして1時間置き、酢に漬けて半日ぐらいおく。
Bすし箱にはらんを敷き、すし飯を大きく握って角の方から詰めていく。
CBの上にAを整然と並べる。(すし飯を切りやすくするため)
DCの上にはらんを置き、上蓋をのせる。
  いくつものすし箱に同時に詰め、すし枠に収め木槌でくさび型をカンカンと打ち込んで絞めていく。
  一晩に数回くさび型を打ち込む。
E翌日には味がなれてくるので、デスク糸で切り分け木の芽をのせる。
応用
1,鰆の代わりに、あなごを用いてもよい。あなごの場合は合わせ酢の砂糖の分量を多くする
2,すし枠(木の香りがすしに移るのでよい)がない場合はばねつきの角型漬け物器を用いてもよい。
 漬け物器の底と周囲にラップを敷いてすし飯を詰めると、できあがったときに取り出しやすい。
 丸形漬け物器を用いる場合は、切り方を工夫する。
備考
カンカンすしは、藩政時代から志度町に伝わっている保存食でくさび型をたたくとき、カンカンと音が
することで「「カンカンすし」の由来があるが、「ほらいたずし」、「型すし」とも呼ばれる。
すし飯をかたく押し込んでいるのでかたくしまっており、保存性がある。

少人数の家庭向きカンカンずし(箱ずし型2個を使い、米3カップで作る。

@すし型の箱にはらんを敷き、すし型に酢じめした鰆をのせる。




A@の上にはらんを乗せ、すし型の蓋をする。その上に新聞紙を敷き、その上にブロックを重ねて重しにして4時間ぐらい置く。

B鰆の上に木の芽を飾る。






C温めた包丁で一箱を6切れに切り分ける。