私の回想録
第29回   動物との戦争
 数年前の夕方でした、家の近くまで帰ってくると 稲刈りの終わった田んぼを近所のおじさん

が棒切れを持って走っているのです、
前を見るとイノシシの子供が逃げているのでした、
車を止めて見ていると 逃げていたイノシシ 川につきあたると渡れないと判断したのか

Uターンして手前の方に走ってきたのです、


おじさんびっくりして今度は自分が逃げ始めたのでした  イノシシはおじさんを追い越して

車の前の道路を横断して反対側
の山へ逃げてしまいました、
私も追いかけたのですがイノシシにはかないません
又 ダムで有名な木頭村へ行った時 1人のおじいさんが話してくれました、1人暮らしのおじい

さんが家に帰るとこたつの中に何かいるのです
良く見ると たぬきが入っていたのでした、

其処でおま
もはらをすかしているのじゃろうと餌をやると喜んで食べてそれ以来住み着いて

しまったのです
更にそのたぬき妊娠していてやがて子供が産まれて2匹 のたぬきを飼う

はめになりました
おとぎ話のような話ですが本当なのです、
私の村にはいろんな動物達がいます、イノシシ、ウサギ、鹿、たぬき、猿 ハクビシン等です、
収穫間際の稲を荒しに来るのです、片方から食べれば良いものを田んぼの中へ入って走り回

るものですからひどいときには収穫皆無にもなりかねません

これには私達も頭を痛めました、
昔は少し目立つものを置いておくと警戒してこなかったもの

ですがだんだんと効果がなくなったのです、
其処で考えて バッテリーを持って行き一晩中照明をつけてみたのですがだめでした、今度は

ラジオを付け深夜放送を一晩中流したのですが2〜3日するともと通りなのです、
次に犬をつれていったのです、放すと家に帰ってくるのでつないでおきました、それも2〜3日で 

ひもの届かない所へは平気でやって来るのでした、  
さらに道路工事に使う 赤いライトが点滅する表示灯を点けてみたのです、これは1年くらい効果

がありましたがやがて通用しなくなりました
私たちの村から南側の山を越えると太平洋で暖かい山の南面には冬が来るとうばめがしとか

どんぐりなどのイノシシの食べ物が豊富にある
のです、そしてそのあたり1面広大な地域が鳥獣

保護区になっているの
です、
イノシシ達は冬は其処で生活し夏になると私たちの村へ移動して来て作物を荒すのです、

県の方へ言ってもどうにもなりませんでした、
そこで村の人達で相談して電気牧柵を入れることになりました、当然県の補助金をもらい村の周

りに電気牧柵を張り巡らしたのです、
さすがにそれからはイノシシは入らなくなりました、
しかし猿はそうは行きませんでした農繁期が過ぎて電牧をはずすといろんな動物たちが里へ降

りて
きます、農作物を荒さない動物たちはいいのですがやがて家の周りに柵をしなければいけ

ない時代が来るかも知れ
ません、
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