私の回想録
  第35回  棟札
52歳の時でした、
古くなった家を改築しようかと言うこと

になりました、
各部屋から家の周りなどすべて思い

出に写真に収めて残し
そしてその9月

古い家の解体と
なったのです、
近所の人達から友人達に手伝いを頼

み大きな機械でわずかの間
に長年住

み慣れた家が
壊れてしまいました、                           
昭和38年当時
現在



私にとっては50年間の思い出と共に先祖からの遺産を壊すことに
なぜか 

  後ろめたい気持ちでした、
前の田んぼで大きな火を焚き夕方までに全部焼却

してしまいました、
家にはほとんど棟札が付いています、それを大切に取り出してみると、秋山

留吉31歳 
さらに大正3年に棟上げとなっていました、

留吉は私の実の祖父です、
それから計算しますと約83年になるのでした、
わずか31歳で当時は草屋葺きの家がほとんどの時代だったのですが日本瓦

でも1ランク上の本瓦葺でした、
今では古ぼけた家でしたが当時では立派な家だったのでしょう、
祖母に聞くと祖父は材木の商売をしていたそうです、
しかし墓標を見ると4年後の35歳大正7年のとき亡くなっています、
さぞ残念であったことと思います、
もっと長生きしていたら我が家ももっと変わっていたかも知れません、
祖母がいつか私に言ったことがありました、感慨深そうにお前が商売をする

とはなぁ、、、、、 
昔の祖父に重ねてみていたのかもしれません、
やがて10月から本格的に建設が始まりました、         
何でも新しく出来て行くことは楽しいものです、そして翌年の7月に完成したの

でした、
だが家の外観に付いて家内や子供達は私の考えに大きく反対しました、

皆口をそろえて現代風の家が良い と言うのです、
しかし私は現代風の家にプランターの花を置くよりも和風の家に石や庭木で

庭を作ることが若い頃からの夢でした、
散々文句を言われましたが今度だけは意志を通しました、 
今でも私はこれでよかったと思っています、
祖母も祖父もあの世で多分喜んでくれていることと思います、
私もおかげで2個の棟札を残すことが出来ました、
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