検診の現場

 胃がん検診では 受診者さまの安全のために 従来の人数中心から精度中心に変わってきています。
過去に胃がん検診の偽陰性は40%以上あるとされ これを反省として 撮影や読影判定方法の改善に努めています。
今では 胃カメラの偽陰性率22%に劣らなくなった施設もあるようです。
検診車による検診では まだまだ実施主体の市町によって人数を優先させるところも見かけますが流れは精度中心に向かっています。
また 全国どこでも精度の高い検診が受けられるようにと NPO日本消化器がん検診精度管理評価機構は 基準撮影にて 使用薬剤から
撮影方法も細かく定め また 胃がんによる死亡を減少させるべく 医師・放射縁技師の研修と検定を行っています。
厚生労働省も 検診の事業評価について定め 精度管理に力を注いでいます。      クリックで厚生労働省事業評価へジャンプ

しかし 検診を受けても精密検査を受けない方がおいでになりますが要精密検査の案内が来たならば必ず精密検査を受けるようにしてください。  
早期発見 早期治療が がん克服のポイントです。  ※:偽陰性率は下記の偽陰性の項を参照してください


有効性評価 efficacy evaluation
がん検診の有効性評価は がん検診非受診者と比べ がん検診受診者において当該がん検診の死亡率が減少するかどうかで評価される。 
有効性はランダム化比較試験の結果に基づいて決定されるのが理想的であるが 次善の策として前向きコホート研究や症例対照研究の結果を
用いる場合がある。

要精検率 recall rate
検診において受診者の中でスクリーニング検査の結果精密検査が必要と判定された者の割合を要精検率という。 
要精検率は検診を実施した際に把握される必要がある精度指標の一つであるが その値は 検診の精度に加えて有病率の影響を受ける。
有病率に大きな違いが無い地域間で検診の要精検率を比較した場合に 仮に特定地域の検診の要精検率が他地域と比べ著しく高い場合は
特異度が低く 効率が悪い検診が行われていることが考えられ、逆に要精検率が著しく低い場合には 感度が低く効果に乏しい検診が
実施されている可能性がある。

特異度 specificity
疾病を持たない者のうち 検査で陰性を示した割合を特異度という。
真陰性者を真陰性者と偽陽性者を足したもので割ることによって計算される。
特異度の高い検査は疾病を持たない者が誤って疾病があると判定されることが少ない検査であることを意味する。
がん検診の精度評価では 検診受診時に癌を持たない人のうちスクリーニング検査で正しく陰性と判定された者の割合が特異度である。

感度 sensitivity
疾病を持つ者のうち 検査で陽性を示した割合を感度という。
真陽性者を真陽性者と偽陰性者を足したもので割ることによって計算される。

偽陰性 false negative
検査を受けた者の中で 発見目的とした疾病を持つにもかかわらず 検査で陰性と判定されることを偽陰性という。
胃がん検診の精度評価では 受診時に発見可能な胃がんがあったにもかかわらず 検診で「異常なし」と判定された場合が 偽胃陰性にあたる。
偽陰性例を把握するには 一定期間追跡することが必要になる。 
これによって判明した中間期がんもしくは中間期がんと次回検診受診時に発見された検診発見がんをあわせたものを いわゆる久道の定義で持って 
偽陰性例と定義することが多い。
  疾病を持つ者のうち検査で陰性を示した者の割合を 偽陰性率という。
偽陰性率の高い検診は 疾病の見落としの多い検診を意味する。

偽陰性率の高い胃がん検診とは 多くの胃がんを見落として異常なしと判定することにより 受診者に不利益を与えることになる。
いま 胃がん検診では 人数中心から精度管理を中心とした 検診機関が多くなっている。
このことにより 実施人数にも制限がかかってきている。

検査方法も標準化が図られ全国どこでも同じ検査方法で実施されるようになってきた。
日本消化器がん検診学会の胃がん検診専門技師認定を持つ技師による検査が望ましい。




胃がん検診の現状 ー その1 香川県 ー

平成19年度の胃がん検診の現状が 香川県によりまとめられました。 これによりますと 職域検診を除く地域住民の受診者数は
平成18年度より少し増えています。 (施設検診が16000人 検診車が19000人)

陽性反応的中度も 1.74%と 要精査となった100人に2人弱に胃がんが発見されて おりそのうちの70%以上が早期胃がんで
治癒率の最も高いステージTが最も多く発見されています。
これらには 撮影技師・読影医師・他のスタッフの精度管理が重要になっています。

(財)香川県総合健診協会が実施する検診車による検診では 精密検査の受診率は90%を超えていますが 医療機関による施設検診では
格差があるようです。 これは問題です。

受診率の向上には 保健師さんなどの地域での活動が最も重要ですが 検診に従事するすべてのスタッフの情熱と 
日常の検診現場でのたち振る舞いが大切ではないでしょうか。
精度と人数 相反する問題がありますが受診者が安心し信頼できる検診にしましょう。


検診実施主体におかれましても 事業評価を行うことによって 受診者にとって 有益な検診となるでしょう。