◆子どもの言葉はどう育つ?
子どもたちにとってことばとは何か?
子どもはことばをどのように獲得するのか?
 
この問いに対する答えを私たちは長い間探求し続けてきました。
その結果、現在までに次のことがわかってきました。
それはことばとは子どもが相手と関わろうとする行動、
共感共有し合おうとする行動が発生学的に形を変えたものであるということです。
それはちょうど石英が結晶として成長し水晶に姿を変えるのと似ています。

ことばの発達が遅かった子どもさんでもお母さんやお父さん、
そして先生と楽しく関わり遊ぶようになってくると
自分からことばを発見し獲得し始めるのです。

これは逆に言えば子どもさんが言葉を獲得するためには、
お母さんやお父さんとの生き生きとした気持ちのやりとりが是非とも必要なのです。
それは水晶が存在するためには、母胎となる石英の存在が必要なことと同じです。

そしてこの過程は難聴の子どもさんであろうと、
そのほかの障害を持った子どもさんであろうとまったく同じということもわかってきました。

子どもはお母さんやお父さんとのやりとりが楽しいと感じ始めたら、
その楽しさをお母さんやお父さんはどのようなことばで表現しているかを見つけ、
そして自分が見つけたことばで、その楽しさをお母さんやお父さんに向かって表現し始めるのです。

子どもがことばを育てるに当たってもう一つの大切なことがあります。
それは子どもにとって自分の回りの世界がどうなっているか、
自分で実際に見て、さわって自分の全身を使って確かめる必要があるということです。

このようにしてわかっていった回りの世界での出来事を、ごっこ遊びの中で再現し、
お父さんやお母さんはそれらをどのようなことばで表現しているかを
子どもはさらに見つけ、ことばはさらに発達していくのです。

戸外で身体をいっぱいに使って遊び、ごっこ遊びで楽しいやりとりをすること、
これが子どものことばが育つ上でもっとも大切なことです。