横井軍平氏が1997年10月4日、交通事故により亡くなられました。
心より御冥福をお祈り申し上げます。
 

 

 

 

 

 


ゲームウォッチ批評

今から15年以上前に発売されたゲームウォッチであるが、その魅力は 今なお色あせていないと言わざるを得ず、天才・ 横井軍平の面目躍如といった ところである。ここでは、私が実際にプレイした ゲームウォッチについて、その感想などを述べることによって、ゲーム業界の 現在を考えていきたい。


シルバー


ボール (AC-01 '80年4月発売)

 ゲームウォッチの記念すべき第1号。2つないし3つのボールでお手玉を 行う。3つのボールの周期が異なることによって、単調になることを防いでいる。 私はこのゲームが非常に好きで、あまりの欲しさに夢にまで見た思い出があるが、 今はなくしてしまって既にない。残念である。

 

フラッグマン (FL-02 '80年6月発売)

 実はこのゲームは、やっていないのでわからない。紹介記事を読む限りでは、 サイモンのようなゲームらしい。「つまらない」という感想を目にしたことも ある。

 

 
バーミン (MT-03 '80年7月発売)

 もぐらたたきを題材にしたゲームであるが、通常のもぐらたたきとはだいぶ異なる。 プレイヤーは両手にハンマーを持った人を左右に動かすだけであり、 そのハンマーはもぐらが顔を出すと自動的に振り下ろされる(左右どちらを 振り下ろすかも自動的に選ばれる)。このシステムの採用により、単なる反射神経 ゲームであったもぐらたたきを、「どのもぐらが先に出てくるか」という判断と、 「それを叩くために人をどのように動かすか」という判断が問われる「判断力ゲーム」 に高めることに成功した。このゲーム性は、ゲームウォッチの多くに共通するもので あり、その意味でゲームウォッチの面白さは基本的にどのゲームでも同じである といえる。

 
ファイア (RC-04 '80年7月発売)

 ゲームウォッチを代表する名作の一つ。内容は今さら説明するまでもないが、 ビルから飛び降りた人を、トランポリンで3回跳ねさせて救急車まで運ぶというもの。 単純な「キャッチ型ゲーム」と比べ、2回目・3回目の落下タイミングが1回目に 跳ねた時点で予測できるという点が優れている。 また、ゲーム性の完成度もさることながら、見た目的にも動きが ダイナミックなゲームであり、面白さはピカ一である。

 

ジャッジ (IP-05 '80年10月発売)

 異色作の一つ。2人の出す数字を比べ、大きいほうが殴れ、小さいほうはガードする というゲーム。なかなか面白いのだが、1ゲームするのに必ず99回勝負しなければ ならないというのが異様に面倒くさく、1ゲーム終わるころにはもう飽きているという 点が問題である。

 

 


ゴールド


マンホール (MH-06 '81年1月発売)

 ファイアと並んで、ゲームウォッチの代表作の1つ。雑誌のプログラミング講座など で、「ゲームウォッチのゲームを作ってみよう」という題材では、ファイアやこの マンホールが題材とされることが多い。まず、ゴールド第1作で、過去5作に比べ カラフルになり、絵的に非常に楽しげになったのが魅力の1つ。なにしろ、 レンガの道があって、人がウジャウジャ、妙な音を出しながら歩いていて、 マンホールがあって、それに蓋をする男である。 この何かのコントのようなシチュエーションだけでもかなり楽しいのに加え、 ゲーム性という面でも、4ヶ所を自由に一瞬で移動でき、道が上段と下段の2本に 分かれているというのも良かった。実はこのゲームは私が初めて手に入れた ゲームウォッチなのであるが、未だにカウンターループ(999点)を達成して いない。それどころか、ボタンの調子が悪いので分解して直したら、しばらくして まったくボタンが効かなくなってしまったので今はもう遊べない状態である。

ヘルメット (CN-07 '81年2月発売)

 私はこのゲームは余り面白いとは思わなかった(今やれば多少は印象も変わるかも しれないが)。これは落下物を避けるタイプのゲームで、従来のキャッチ型の ゲームと比べて達成感・爽快感の面で劣っているような気がする。しかし 考えてみると、ゲームウォッチにはこのような「よけ」が主体のゲームがあまり ないので、その意味では貴重な存在といえるかもしれない。余談だが、 昔 PC−8001の1画面プログラム で、こいつを作ったことがある。それだけ 単純なゲームだったともいえる。

 
ライオン (LN-08 '81年4月発売)

 このゲームは余りやっていないのでよく覚えていないが、他のゲームウォッチに 比べ、点数の上がり方が変則的で、そこが新鮮だった。また、このゲームは ライオンが檻から出ようとするのを受けとめるゲームなのだが、そのライオンが フェイントを使ってくる(出ると思わせておいて出てこなかったりする)など トリッキーな動きをするという点でも、それまでのキャッチ型ゲームとは 一線を画していた。個性という点ではゲームウォッチ中で1、2を争う作品だろう。

 

 


ワイドスクリーン


パラシュート (PR-21 '81年6月発売)

 昔はかなり好きな作品の一つだったが、今やってみると結構つまらない。 スピードがあまり上がらないのが理由の一つだが、 同タイプのゲームであるファイアと比べても、ただ 人が落ちてくるのを受けとめるだけで単調になってしまっている。 まあ、このゲームは、「画面が広くなった!」という点と、「パラシュート で降ってくる人を、海で待ちかまえる鮫から守る」というシチュエーションの面白さが 売りといえるだろう。

 
オクトパス (OC-22 '81年7月発売)

 ファイア、マンホールと並んで、ゲームウォッチの代表作の一つ。あの大ダコの 姿が、多くの人の脳裏に深く刻みこまれているだろうことは、 疑いのないところである。ゲーム性も変わっていて、基本的にはうまくタコの足の 動きを予測して避けるというもので、その点ヘルメットとも通じる「よけ」の ゲームであるが、「財宝を取る」という前向きな目標があることと、シチュエーション の面白さで、こちらのほうが圧倒的に勝っている。当時はあまり好きな 作品ではなかったが(子供は、こういう、あまり「変わった」作品よりも、 安心できるステレオタイプの作品を好むものらしい。)、今でも楽しめるという点では 非常に優れた作品であるといえる。

ポパイ (PP-23 '81年8月発売)

 このゲームは、確か1,2回しかプレイしていないので記憶も曖昧だが、確か ブルートのパンチを避けながらオリーブの投げるものを取っていくゲームだったと 思う。つまり、「キャッチ」と「よけ」を同時に楽しめるお徳用のゲームである。 なかなか面白かったと思う。

 

シェフ (FP-24 '81年9月発売)

 これも1〜2回しかプレイしていない。確か、友達の近所の家(私が全然知らない人 の家)に、このゲームをプレイするためだけに上がりこんだ記憶がある。 内容はキャッチ型ゲームで、4つの料理を落とさないように次々とフライパンで 跳ね上げるというもの。「ファイア」や「パラシュート」と同タイプのゲームだが、 「同じ場所で跳ね続ける」という点と、「どの高さで落下を始めるかがランダムに 変わる」という点が新しかった。コックと台所という場面設定も面白い。

 
ミッキーマウス (MC-25 '81年10月発売)

 このゲームは4ヶ所から転がってくるタマゴを順序良く受けとめていくというもので、 「キャッチ型」の中でもパラシュートに次いで単純なものであるが、タマゴを 2回落とすまでミスにならないという点(1回だと半ミスになる)と、キャラが ミッキーであることで変化をつけていた。わりと楽しめた。ちなみに、海外版は 「エッグ」といって、ミッキーをキャラに使っていないらしい。

 
タートルブリッジ (TL-28 '82年2月発売)




 このゲームは個人的に好きである。海の上に並んだカメを、因幡の素兎よろしく 渡っていくのだが、そのそれまでになかったゲーム性と、カメの上を渡っていく というヘンさ加減が気に入っている。とはいえ、あまりプレイする機会がなかったの が残念である。

ファイアアタック (ID-29 '82年3月発売)




 これも「キャッチ型」のゲームで、大体ミッキーマウスと同じようなゲーム性で ある。 このゲームが変わっているのは、スコアが9999点まであるということだろう。 ゲームウォッチは数多くあれど、スコアが4桁にのるのは、ボールとこの ファイアアタックだけである。

スヌーピーテニス (SP-30 '82年4月発売)

 ゲームウォッチでテニスという異色作。もっとも、ゲームウォッチ以外の 電子ゲームではそれ以前にもあったような気がする。1回しかやっていないので なんともいえないが、そのときの点数はたしか45点くらいだったと思う。 つまらなくはなかったが、特別面白いというわけでもなかった。


マルチスクリーン


オイルパニック (OP-51 '82年5月発売)

 マルチスクリーンでは「ドンキーコング」が有名だが、最初に発売された のはこのゲーム。横井軍平氏が「ひとつひとつの画面を見ると1スクリーン の時よりつまらないのに、それを合わせると前よりもずっと面白いものに なった」という通り、上のスクリーンではただオイルを受け止めるだけ、 下のスクリーンではただドラム缶にオイルを入れるだけなのに、「それぞれの 動作をどのようなタイミングで切り換えるか」という点で新しいゲーム性を 作りだすことに成功した。今やるとそれほどでもないが、私がキャッチ型が好き だったこともあって、かなり好きな機種の1つだった。

 

 

 
ドンキーコング (DK-52 '82年6月発売)

 おそらく、「マルチスクリーン」と聞いて10人中9人が思い浮かべるのが このゲームだろう。「マルチスクリーン」と同時に「ゲームウォッチ」を 代表する一作でもある。今見てみると、それまでのゲームウォッチからの あまりの変わりように驚く。それまでのゲームウォッチが 限られた空間しか移動できないものだったのに対して、この「ドンキーコング」 では、まさに画面を縦横無尽に移動できるという感じがする。また、 アーケードゲーム界においても画期的な発明であった「ジャンプ」を 導入した点でも、これまでのものとは一線を画している。 また、このゲームは、初めて「十字キー」を採用した作品としても意味がある。 ジョイスティックに近い操作感をこのようにコンパクトにまとめるのに成功した ことは大きい。今や業界標準となった十字キーも、当時は「変なのー」としか 思わなかったものである。

 

ミッキー&ドナルド(DM-53 '82年11月発売)

 やったことがないので略。この前、秋葉原のゼットで9000円くらいで 売ってました。

グリーンハウス (GH-54 '82年12月発売)

 「植木に虫がつかないように、スプレーでやっつける」というゲーム。 クモは、スプレーをかけても死なない(ドンキーコング3のように押しやる) とか、植木の直前で倒す(このときはクモも倒せる)と点が高いとか、細かい ところで少し工夫も見られるが、基本的に従来のゲームからの変化はあまりなく (一応、「弾を撃つ」というアクションはゲームウォッチで初。)、 マルチスクリーンならでは、というところは少ない。強いてあげれば、 ドンキーコングと同じく、自分の移動範囲が広い、ということだろうか。 それまでのキャッチ型ゲームが、目的地までほぼ一瞬で行けたのと比べると 多少変わったといえる。

ドンキーコングII (JR-55 '83年3月発売)





 これは持っている(友人から貰った)が、あまりやったことがないので よくわからない。 まあ基本はドンキーコングとあまり変わらず、やはりジャンプが中心の ゲームである。面白さもドンキーコングと同じような感じ。ただ、 なぜか液晶が黒でなく茶色で見にくい(私のが劣化しているだけかも しれないが)。

マリオブラザーズ (MW-56 '83年3月発売)

 同名のアーケードゲームとは全然異なるゲーム。このゲームだけ、 スクリーンが横につながっている。確か、ベルトコンベアを使って、 荷物を流したり受けとったりするゲームだったと思う。 ゲーム内容も単調で、はっきりいって「つまらん」という印象だった。

ピンボール (PB-59 '83年12月発売)

 やったことがないので略。テレビCMで見た限り、結構まともに ピンボールしており、鮮やかな色彩も印象的なゲームだった。 このCMを見たときは、「まだゲームウォッチもがんばってるんだなあ」 と思ったものだ。それだけゲームウォッチブームも下火になっていた。

ブラックジャック (BJ-60 '85年2月発売)

 これは、やったことがないというより、存在を知らなかった。 前に秋葉原で海外版の安売り(1000円くらい)をしてたときに見かけた。


ニューワイド


ドンキーコングJR. (DJ-101 '82年10月発売)



 1画面で、ドンキーコングと同じようなゲーム性を実現。「ジャンプ」と 「ツタ」の要素が両方あるところに、ちょっと同名アーケード版の要素が 取り入れられている。ドンキーコングと比べると、場面変化がなくてやや 寂しい感じだが、それでも十分面白い。ゲームウォッチ代表作の1つに 数えてもいいだろう。



お詫びと訂正


参考資料

関連図書紹介 ちなみに、 このページ にもゲームウォッチのすごい情報があります。 うーん、負けてるなあ…。

また、外国には、 ここここのような サイトもあります。画像が多くてナイス。海外サイトだけに 海外版のゲームもあります。エッグとか。


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