第18話「浦和!その秘めたる力!」の巻・前編


「気をつけろ春日部。ここから先は奴のテリトリーだ。」

越谷の声。

「ああ、わかってる。いかにもJR沿線って雰囲気になってきたぜ・・・」

カアッ!

春日部がそう言い終わるか言い終わらないかの間に、眼前にまばゆい光が現れた。

「・・・どうやら、おいでなすったようだぜ。」

そう、ついに奴が、その姿を見せるのだ。

光が徐々に弱まるとともに、その輪郭がはっきりと見えてくる。

「・・・貴様が、浦和か。」 身構えながら、越谷が質問する。

「如何にも。余が県庁所在地、浦和である。」

穏やかな中にも威厳に満ちた口調。浦和は語り続ける。

「越谷に春日部・・・貴様らの裏切り、余はすべて見通しておった。しかし、 自らその過ちに気づくのを待ち、あえて制裁は加えずにおったのだ。」

おもむろに二人に近づいてくる浦和。空気が徐々に張り詰めてくる。

「しかし、事ここに至ってしまっては止むを得まい・・・」

足音が止まった。

「せめて冥土の土産に、この浦和の恐ろしさをその目に焼き付けておくがいい」

ガカカッ!

言うが早いか、閃光が走った。

浦和の必殺技、PARCOだ。

しかし。

「何っ」

越谷、春日部、ともに間一髪で直撃を逃れた。

「・・・防ぎおったか」

先制攻撃を防ぎ、ひとまず安堵する2人。

VARIEガードで防げるか自信はなかったが、やってみるものだ。」

「ふん、どうやら、俺のロビンソン百貨店が最強だな。・・・どうした浦和よ、 県庁所在地の力とやらはそんなものか!」

「・・・」

「今度はこちらの番だ!いくぞ越谷!」

「おう!」

2人が構えをとったその時、

「何ッ!」

突然、死角から何者かが現れた!

ユニヴァーシティ・オブ・サイタマ!

「うわあっ!!」

「春日部!」

不意打ち。まともに食らった春日部が倒れる。

「後ろかっ!?・・・伏兵とは卑怯な!」

「・・・戦いの場で今更何を。・・・だが、伏兵ではない。」

「何っ?」

「分身だ。」

「いったい何を・・・ぐふっ!?」

突然の衝撃。越谷の横腹に、さらに別の何者かが一撃を加えた。

「ほう、倒れぬか。」

「くっ・・・この攻撃、ただものではないな。誰だ!」

「私か。私は浦和。」謎の男の声がした。

「何ィ!?馬鹿を言え、浦和ならあそこに・・・」

「これは失礼。ただの浦和ではない。・・・南浦和だ。」

「南・・・何だと?ぐふっ!」

さらに一撃を食らう。

「どうだ、南浦和特製、市民文化センターの味は。」

(くっ・・・これは、俺のサンシティに勝るとも劣らない衝撃・・・い、いったいこいつ?)

ドウッ!

春日部のほうからもさらに異音がする。

北浦和の奴、もうウラワ・ハイスクールまで叩き込んだか。せっかちな奴め。」

(北と南・・・そうか、奴が分身と言ってたのがこれか。だが春日部にも・・・)

「カスカベ・ハイスクール!」

ズガアアン!

北浦和と春日部、互いの技が衝突した。

北浦和の技を和らげ、最小限のダメージで食い止める春日部。

「不意打ちでなければ、お前の技などそうやすやすと食らう道理はないぜ!」

「・・・フン、伊勢崎線沿線ごときが生意気な。いくらあがいても、貴様らの絶望は変わらんぞ。」

「ハッタリを!喰らえ・・・うっ!?」

シャシャッ!

何者かの風切り音。しまった、何故読めなかったのか・・・後悔するが、もう遅い。

ドガドガァッ!

左右両サイドからの、さらなる伏兵、いや分身の攻撃が炸裂する。まともに食らう春日部。

「き・・・貴様らは・・・まさか・・・」

分身たちがエコーのかかった声で答える。

「そう・・・東浦和西浦和だ。」

(後編につづく)