第18話「浦和!その秘めたる力!」の巻・後編


(前回までのあらすじ)ついに浦和との最終決戦にのぞむ越谷・春日部。しかし、北浦和・南浦和・東浦和・西浦和に囲まれ絶体絶命のピンチに追い込まれる!

「くっ・・・東西南北揃い踏みとは・・・不覚・・・!」

ドシャアッ!

春日部が倒れる。

「春日部ーーーーっ!」

「おっと、お前の相手はこの南浦和だ。」

駆け寄ろうとする越谷の行く手を塞ぐ南浦和。

「くっ、越谷ツインシティ!

「むっ!?」

ズガッ!

最近習得した発展途上の技をとっさに使い、一瞬の隙を作ることに成功した。

「何だ今の技は・・・だがこの程度の技では・・・しまった!」

獨協病院!

パアア・・・淡い光が春日部を包む。なんと、春日部の傷がみるみる癒えていく。

「サンキュー、越谷。助かったぜ。」

「ああ。・・・それにしても、これだけの敵、小技では埒が明かないな。」

「同感だ。大技・・・『あの技』で決めるしかねえ。」

「そうだな。しかし、まだ伏兵がいないとも・・・」

「何をこそこそ喋っておる。」

「浦和!?いつのまに後ろに!」

「まあよい、何を企もうと、貴様らごときがこの浦和の強大な力に勝てるわけがない。力の差を思い知ってあの世に行くが良い。」

「ふん、でかい口叩きやがって。来るなら来やがれ。」

「よろしい。いくぞ皆の者!」

浦和の台詞が終わるか終わらないかの時には、すでに北浦和、南浦和、東浦和、西浦和、4都市が周りに集結していた。

「ちっ、一都市でも厄介なのに、5都市か・・・」

「いや・・・違う。」

「えっ?」

「思い出せ・・・草加老師の教えを。」

「老師の教え・・・あっ!」

「そうだ。」

===(回想シーン)===

「なに・・・浦和と戦うだと?」

「はい、スカイツリーを得た今こそ(※2)、伊勢崎線の力を見せつける時です。(※2:スカイツリー自体は東京都に立地)」

「焦るでない。まだスカイツリーの力もどこまで本物かわからぬ。いつか、本当の実力がついたとき、 堂々と天下を取れば良い。」

「老師。お言葉ですがそれは悠長すぎます。」越谷が珍しく主張する。

「そうだぜ!大事なのは勢いだ!今やらずに、いつやるっていうんだ!」春日部も続く。

「わかった・・・そこまで言うなら、止めはすまい。一言だけ、お前たちに教えておこう。」

「何でしょう。」

「浦和は、7人いる!」

「浦和は、7人いる。いったい何のことでしょう。」

「意味まではわからぬ。しかし、代々伊勢崎線に伝わる言葉じゃ。よいな、浦和と戦うことになれば、 この言葉を思い出せ。」

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「ということは・・・」

フォウッ!

そう、さらに2つの都市が現れる。

「馬鹿な・・・」

合計じつに7都市。圧巻。それらが整然と一つのフォーメーションを描く。

「北浦和、南浦和、東浦和、西浦和、武蔵浦和中浦和、そしてこの浦和。 7つの浦和がひとつになるとき、真の浦和力が呼び覚まされる。」

グワワワワ・・・

浦和たちの周りを囲む無数の光の粒子は、レッズサポーターのエネルギーか。

「おおおおーーーー!」

激しい地響き。このままではまずい、直感した2人は、咄嗟に攻撃の体制に入る。

「越谷!」

「おう!」

イオンレイクタウン!

越谷、いや国内最大級の攻撃。それをいきなり繰り出すことで、敵に防御を整える時間を与えない作戦だ。

「!」

不意をつかれた浦和たちは、為す術もなく倒れる・・・

はずだった。が、その刹那、何者かが技の軌道に飛び込む。

グワシャアア!!

「な・・・何だと?越谷の必殺技が・・・?」

ウオオオオン!

「レ・・・レイクタウンの威力が・・・」

捨て身の一撃を繰り出したのだろう。越谷の技は明らかに相殺された。 浦和たちをかすめたが、大きなダメージを与えることはできない。

「あ・・・あれは・・・?越谷っ!?大丈夫か!?」

「ぐふっ・・・忘れていた・・・奴は・・・浦和美園!

必殺技で力を大量に浪費し、膝から崩れ落ちる越谷。

「浦和美園!あの浦和美園か!」

「そ、そうだ・・・。この越谷が、かつて一度、拳を交えた相手だ・・・。」

浦和美園。世界クラスの埼玉スタジアム2002を使いこなす猛者。

越谷とはかつて死闘を演じたが、そのときは、越谷の埼玉鴨場しらこばと水上公園で なんとか抑えこみ、勝負はそのままお預けとなっていた。

「伝説では、最終奥義(レイクタウン)に匹敵する技(イオン)を持つ街が存在すると言われていたが・・・奴がそうだったとは・・・ そして奴も浦和の一員・・・!」

だが、正確には違う。 浦和美園。歴史が浅く、場所も他の浦和とはまったく離れているこの街は、常に七浦和たちからよそ者として扱われてきた。 だが、その忠誠心は、他の浦和たちに優るとも劣らない。いつか、浦和に認められることを夢見てきた。 そして、今。

「浦和美園よ、よくやった。貴様は、今日から正式な浦和だ。」

「あ・・・ありがたき・・・幸せ・・・」

いまわの際、初めて浦和の一員として認められた。安堵し、浦和美園は力尽き倒れた。そして。

・・・崩れ落ちる浦和美園の先に現れる、まったく異次元の威圧感。・・・浦和の真の姿だ。

「さあ、どうやら万事休すだな。とくと見よ!七色都市の衝撃!」

爆音。辺りがすべて白くなった。

ウラワ・ザ・レインボー!!

(つづく)