番外編1・俺とパソコンサンデー

いつごろだったかもう忘れてしまったが、ある日友人から、 「日曜日の朝に、パソコンの番組がやっている」という情報を聞いた。

パソコンの番組!それは、とても魅力的な響きだった。
それまで、少なくとも自分は、パソコンやゲームを扱ったテレビ番組というのを 見たことがなかった。せいぜい、ゲームウオッチやファミコンの テレビCMを見て喜んでいるくらいだった。そんなときに、 まるごと30分、パソコンの情報だけを扱った番組が存在することは、 驚きであった。

それがテレビ東京の「パソコンサンデー」だったのである。確か、 日曜の朝9:30から10:00までだったと思う。 はじめ聞いたときには「どうせテレビでやる情報なんて、 そんなに面白いもんじゃないだろう」とも思っていたのだが、 実際見てみると、これがなかなか面白い。 こうしてパソコンサンデーは、 ハイスクール!奇面組 と並んで、週末のお楽しみとなったのであった。 (今でもうちには、ハイスクール!奇面組とパソコンサンデーが 交互に入ったビデオが残っていたりする。)

私が見始めたころは、「豊和・丸美のパソコンサンデー」という キャッチフレーズで、 三波豊和と白石丸美という2人が司会を務めていた。 この2人が2人とも、いかにも「パソコン初心者!」という感じの司会なのだが、 雰囲気が妙に爽やかで、とにかく楽しそうにパソコンをさわるのが 印象的であった。(個人的感想では、この2人が司会のときのほうが、 小倉氏が司会のときに比べて遥かに楽しかった。小倉氏に変わってからは、 なんか内容がマニアックというかビジネスっぽくなってしまって、 あまり見る気がなくなってしまった。)

まあ、普段はコンピュータ関係の話(といっても、多くは スポンサーのSHARPのパソコン関係の話だが)を取材を交えて進めていく、 というものであったが、月に1回、「ゲームソフト売上ベスト10」という コーナーがあって、これが非常に楽しみだった。 (司会の2人も明らかにこのコーナーが一番楽しみだったようで、確か 「月に一度のお楽しみ・ゲームソフトベスト10」とか言っていた。) なにしろ、普段はお目にかかれない、最新のゲームソフトが 動いているところがこの目で見られるのである。 普段は見ないこともあったパソコンサンデーだったが、このベスト10の ときだけは見逃さないようにしていた。

ちなみに、このコーナーでは、中村光一が 「天才ゲーム作家」という 肩書で解説を行なっていた。あのときはしゃべりが素人くさくて(素人 だけど)、なんか天才というわりには鈍臭いお兄さんだなあとか思いながら 見ていた。とはいえ、彼の「マシン語ゼミナール」は テレビの1コーナーにしてはなかなか興味深いテーマを扱っていて、 これも楽しみにして見ていた。

そして、その他に楽しみだったコーナーといえば、やはり、 「パソコン道場」であろう。これは、視聴者が応募してきた プログラムを「Dr.パソコン」(ちなみに、ベーマガに出てくる Dr.Dとはまったく関係ない)に見てもらって、 「赤帯」「黒帯」「銀帯」「金帯」といったふうに評価してくれる、 というもので、MZ−1500やX−1といったパソコン上で 楽しいキャラクターやBGMとともに動く面白そうなゲーム達は、 PCGもPSGも持たないPC−8001mkIIユーザーである 私の憧れの的だった。

爆弾を投げて戦車を倒すゲームや、 お絵描きツール、りんごが主役のサラトマ風 (ちょっと言い過ぎ) アドベンチャーゲーム、その他キャラクターがきれいな 「泥棒アドベンチャー」、さらには司会の2人が 作った「カロリー計算ソフト」「クリスマスカード」なんてのもあったが、 一番印象に残ったのは「Shadow Labyrinth」というゲームであった。 確か、開成高校の「ゲームと名のつくものなら何でも好きな16歳」の お兄さんが作ったゲームだったと思うが、内容は当時まだマイナーだった RPGであった。これもまたキレイな画面で、カッコイイ音楽付きの タイトル画面までついていて、しかも内容が、町に入ったり森に入ったり 敵と戦ったりといろいろ盛り沢山で、しかも「経験度」なんて わけのわからないパラメータ まであったりして、めちゃくちゃ面白そうであった。 Dr.が「市販品にできる」というだけのことはある力作であった。 あのゲームは、今も「面白そうなゲーム」として心に残っている。 いつかああいうゲームを作ってやろうと思っている。

そして、この「パソコン道場」の親玉みたいなイベントが、 「パソコンサンデー大賞」(という名前だったと思う)であった。 これは、半年だか一年だかに渡って作品を募集し、 その中から各種受賞作を決定し、番組で表彰しようという、 まあ、要するにパソコンサンデーが企画するプログラムコンテストであった。 P8ユーザーの私は残念ながら参加することができなかったが、 これも非常に楽しみで、また実際非常に面白そうなゲームが 集まり、ビデオに撮って何度も見返したものである。

このコンテストは小学生部門と一般部門にわかれていて、 小学生部門は「100メートル走」とかの結構ヘボい内容のものも あって「こんなんじゃ俺のゲームのほうが100倍面白いぜ」という感じ だったが、一般部門はさすがに「スゴい!」というものが多かった。 とくに大賞の、本の形をした画面で5つのミニゲームを遊ぶ、という ソフトは、そのデザインの秀逸さと相まって、非常に面白そうだった。

このコンテストは以後も第2回、第3回と続いていき、レベルもどんどん 上がっていくのだが、何故かあまり印象に残っていない。 やはり、第1回をはじめて見た時の印象が強かったのと、 第2回、第3回のときはもうあまりパソコンサンデーを見ていなかった せいだろう。 (確か、第2回のチャンピオンは画面数100のアクションRPG、 第3回のチャンピオンは部活運営シミュレーションだったと思う。 いずれもかなり面白そうだった。)

司会が上記の2人から小倉氏に変わってからは、ゲームコーナーで 山下章が出演するというので多少見た程度で、基本的には あまり見なくなった。ただ、やはり時々出てくるゲームの 画面には心踊るものはあった。年間ベスト10に出てきたハイドライドII とか、最新ゲーム紹介で出てきたザナドゥシナリオIIや X68000版のゼビウスとかは、ちょっと映っただけだったが 結構印象に残っていたりする。


次回・番外編2

次回もお楽しみに。


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