番外編3・俺とファミコン(中編)

スーパーマリオのインパクトというのは凄いものがあった。 特に、「隠し」がゲーム性の一部となっているといえるほどの猛烈な数の「隠し」が 我々を虜にした。私は、地下面と同じように城の面や水中面にももしかしたら 通常のゴールの先に何かあるのでは?と考えたりしたし、ゴールのポールを飛び越えたら、 その先に何かあるのでは?と考えて、挑戦している者もいた。「隠し大好き」な 当時のファミコンプレイヤー達は、8−4をクリアした後も、何か隠されてないかと、 このゲームに夢中になっていたのであった。(結局は何もなかったのだが。)

また、このときファミマガでスーパーマリオの全面のマップを特集したことがあって (確か85年の10月頃だったと思う)、この時ほどファミコン雑誌が欲しいと 思ったことはなかった。すでにクリアした後だったと思うが、それでも 「スーパーマリオのマップが載っている」というだけでめちゃくちゃ「見たい!」という 気持ちになった。そう考えると、ファミコン雑誌の普及にも一役買ったゲームかも しれない。実際、当時はスーマリの裏技がバシバシ出ていて、 「スーマリの裏技」というのは前述のように我々がもっとも興味を持つ話題 だったからである。テニスーパーマリオをやってその後スーマリのカセットが なかなか動かなくなってしまったというのも、当時大半の小学生がやっていたことであろう。

スーパーマリオは、音楽もなかなか良かった。特に、地上面のメロディーは、 当時としてはかなり凝ったものだったというのもあって、妙に心惹かれるものがあった。 アイスクライマー、マッピー、F1レース、クルクルランド、チャレンジャーなど、 それ以前にもいいと思ったミュージックはあったが、この地上面のテーマはそれらよりも さらにハマッた曲であった。

しかし、ここまでハマっておきながら、ソフトを持っていないというのも、 当時のファミコンプレーヤーの特徴であっただろう。なにしろ、ソフトが 手に入る機会というのがとにかく少ないから、クリスマスや誕生日やお年玉の 季節には、雑誌を読み漁ったりして、「これだ!」というソフトを慎重すぎる くらい慎重に選んだものである。当然、そこで友達がすでに持っているソフト などは、たとえスーパーマリオであろうと論外だったのである。 まあ、それで結局無難なタイトルを選んでおけば いいものを、狙いすぎたためにクソゲーをつかまされたなどということが 多いのも面白い(本人は面白くない)ところであるが。

とにかく、私の家にようやくファミコンがやってきたのは、4年生か5年生の頃 というふうに結構遅かった。同時購入ソフトは、私が「面白そう」と思って選んだ 「レッキングクルー」(あんまり面白くなかったが)と、たしか母親の意見で買った 「テニス」であった。見ての通り、なんとも魅力に乏しい ラインナップである。 しかし、そんな貧困も慣れればどうってことなく、結構楽しんでいたような気がする。 まあ、当時は本体さえあればソフトは友達が持っているから、自分のソフトが 何であるかはあまり重要ではなかったような気もする。私の家が通学路にあったため、 三浦(仮名)や長沢(仮名)が毎日のように学校帰り(だったと思う)に ハイパーオリンピックをやりにきていて迷惑していたのもいい思い出である。

当時買ったファミコンソフトというのは実はあまり覚えていない。パソコンゲームとの からみもあって、あまり買ってないのかもしれない。しかし、思い出せるものが一つある。 それは5年か6年の冬だったと思うが、クリスマスに何を買ってもらおうか悩んでいた 時期である。候補にあがっていたのは、何故か 「タッグマッチプロレスリング」と 「ディグダグII」であった。「ディグダグIIは確かに面白いだろう。だが、それは ある程度予想のつく面白さだ。それでは無難すぎてつまらないのではないか。 一方、タッグマッチプロレスリングは変わったゲームだが、新しい面白さを味わえる かもしれない。ここは冒険してタッグマッチプロレスリングにするか・・・?」 ということで心がタッグマッチプロレスリングに傾いていた頃、ふと目に止まったのが、 「艦隊をうまく配置して敵をやっつけていく戦略的ゲーム」というゲームの紹介であった。 ほんの小さな囲み記事であったが、妙に心惹かれるものがあり、今度はこのゲームと 「タッグマッチプロレスリング」を両天秤にかけることになる。悩みに悩んだ末、 結局そのゲーム、アクティブ・シミュレーション・ウォーという触れ込みのゲーム 「ディーヴァ」を買うことに決めたのであった。12月中旬のある日、 春日部ロビンソン百貨店 でそのゲームを手に入れた。

「ディーヴァ」は期待通りの面白さを持ったゲームであった。惑星戦のアクションは ウザかったが、それを攻略するたびに増える生産力と、そこで建造した船を使った艦隊戦が とにかく面白かった。とにかく、これまで経験したことのなかった戦略性は、 友達にも好評であった。それは、当時我々の間で、「ディーバじゃねえ、ディーヴァだ」という キャッチフレーズ が流行したことでもわかる。名作というよりはクソゲーの烙印を押されることの 方が多いこのゲームであるが、自分のなかではかなり心に残ったゲームであった。(まあ、 それを言ったら バンゲリングベイ も心に残っているゲームだったりするが。)


次回・番外編4

みんなで見てね〜。


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