第1章

その日私が学園台レッドソックス の練習を終え家に帰ると、炬燵の上にそれはあった。
いくつものボタンがついた茶色い機械。そしてその前にはテレビが。
まぎれもなく、それはパソコンだった。
早速、電源を入れる。

NEC N80-BASIC Ver 1.0
Copyright 1979 (C) Microsoft
Enhanced 1983 by NEC
Ok
の文字が出て、カーソルが点滅した。
さて、どうしよう?
とりあえず、「こんにちはマイコン」に載っていた、「たしざんゲーム」を打ち込むことにした。
10 INPUT A
20 INPUT B
30 C=A+B
40 INPUT D
50 IF C=D THEN PRINT"セイカイ":GOTO 80
60 PRINT"マチガイ"
70 GOTO 40
80 END
たしか、こんなプログラムだったと思う。
やっとの思いで入力し終えて、runした。が、
ピー。Syntax error in 50。
途中でエラーが出て、止まってしまった。
しかし、私は慌てなかった。
「こんにちはマイコン」には、ちゃんとエラーが出たときどうするかについて 書かれていたのだ。
まず、listをとる。
エラーの原因はすぐにわかった。そこを修正する。
再びrun。
しかし、また同じところでエラーが出てしまう。
おかしいと思いながらも、また同じように修正し、再びrunした。
…状況は変わらない。また直す。でも動かない。わけがわからなくなった。
だが、そのように何度も同じことを繰り返しているうち、

直したはずのところが、listをとると全然直っていない

という事実に気がついたのだった。
こうして私は、

プログラムを入れるには、最後にRETURNキーを押さなければならない

という重要な知識を手に入れることができたのである。
「たしざんゲーム」は無事動き、私はいろんな数値を入れてみて、 ちゃんと動くことに感動しながら電源を切り、床についた。


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