序章

それは、ある冬の午後だった。
私は、 ダイエー新越谷店 のおもちゃ売り場に来ていた。
そして、見たのだ。
すごいゲームが、動いていた。
その当時のゲーム機からは想像もつかない、美しい画面だった。
「すごい!」私は、そのゲームと、それが動いていたマシンに、すっかり魅了された。
そのマシンこそが、 ファミリーコンピューター だったのである。(ちなみに、ゲームはドンキーコングだった。)
ていうか、私は、その時、クリスマスプレゼントにそのマシンを買ってほしいと ねだったのだが、親に、「パソコンのほうがいいよ。自分でゲームが作れるから」 といわれたので、パソコンにすることにしたのだった。
私は小さいころからゲームが好きで(あのころの子供はほとんどそうだったかも しれないが)、ゲームウオッチをやるためだけに あまり面識のない友達 の家へ遊びにいったり、友達の家の近所の 全然知らない人 の家にいってゲームをやらせてもらったり、いろいろした。
で、よく、「こんなゲームがあったら面白いなあ」と自分で考えたりもしていたので (その頃考えたゲームとしては、例えば、「トイレゲーム」という、上から降ってくる 液体をトイレを移動させて受け止めるゲームなどがあった。)、 「自分でゲームが作れる」という概念が、非常に魅力的なものに感じたのである。
クリスマスまで待てないので、友達の家のPC-6001mkIIにさわらせてもらったり、 「こんにちはマイコン」や「コペル21」(科学雑誌。当時、 「パソコンレッスン1・2・3」という連載があった)を読みあさったりして、 知識を深めていった。

そして、クリスマスの日、ついに、家にパソコンが来たのである。
機種はPC−8001mkII。NECの最新機種だった。


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