1乳児期〜幼児
アトピー性皮膚炎の症状は早い子で生後2ヶ月ぐらいから現れよく乳児湿疹と間違います。
できやすい部位は、柔らかくて湿気やすいところで、顔や首筋、脇の下、肘や膝の裏、おむつの当たるところなどです。
両親のどちらかがアレルギー体質だったり(アトピーとは限りません。子供の頃喘息だったとか鼻炎なども含みます)、乳児湿疹にしてはおかしいな?と思ったら、小児科等の専門医をまず受診してください。
血液検査やパッチテストで、お子さんの症状が出る原因を絞り込むのは大変重要なことです。
アレルゲンを見つけて、できるだけ生活から排除してください。
食べ物は、卵・牛乳は代表的なアレルゲンですが、よく調べて食べささないことが大事です。
乳幼児期の食物アレルゲンは半年ぐらいでコロコロ変わることがあります。(血液検査の読み方は後記します)
反応が陰性になって、症状が落ち着いてきたら少しずつ食べさせて様子を見ます。
決して続けて食べないように!同じ物を続けて食べると、反応の弱い物でも症状が悪化することがあります。
食べたものをメモしておくと、もし症状が悪化しても、原因が分かりやすいですね。
母乳で育ててる場合はお母さんの協力が必要です。アレルゲンの食べ物はなるべく控えましょう。
それから、子供は甘い物が大好きですが、チョコレートは刺激が強い興奮剤ですので厳禁です。
冷たい物も胃腸を冷やしますので夏の暑いとき以外はやめましょう。時には厳しい愛情も必要なのです。
子供のアトピーの原因の一つにストレスがあります。
これは疳虫と同じ理屈なのですが、イライラしたり思っていることが上手に相手に伝えられなかったり、愛情不足を感じたりすると症状が悪化します。
具体的には、おむつを取る時期が早すぎたり、弟や妹が生まれてから悪化することが多いです。
生活環境も大事な要因の一つです。
カーペット等のダニもそうですが、この頃の家は気密性が良すぎて部屋の中が乾燥し過ぎています。
皮膚も乾燥し過ぎるとバリア機能が低下して悪化の原因になります。
エアコン・温風ヒーター・電子カーペット・電気毛布などには気を付けてください。
加湿器を選ぶポイントは、ヒートアップ式にすることです。振動式では補給した水を振動させて細かい霧状にします。
もし水にカビの菌が含まれてると、部屋中にカビの菌をまき散らすことになりかねかせん。
また、逆に湿気過ぎもカビなどが繁殖するので注意が必要です。
対策
小さい子供さんは我慢が苦手で、すぐに痒き傷ってしまいます。肌に潤いを与えるスキンケアと、皮下の熱を取るスキンタッチが有効です。
スキンタッチとは「
小児はり」の応用で、ご家庭にあるスプーン・歯ブラシ・ヘヤドライヤーなどの身近な物を使って行います
大好きなお母さん、お父さんに優しくスキンタッチされると子供はウットリ!ストレスも少なくなります。
皮下に溜まった熱も、スプーンで撫でることで気の巡りが良くなり、発散して少なくなります。
詳しくは「
スキンタッチのホームページ」をご覧下さい。
スキンケアで大切なのは
感染症対策です。特に黄色ブドウ球菌は自分で毒素を出してアトピー症状を悪化させます。
イソジン消毒も有効ですが、安くて安全で効果的な強酸性水をお勧めします。
入浴時は添加物の少ない石鹸をよく泡立てて手で撫でるように洗います。決してゴシゴシこすらないでください。
保湿剤も有効です。今私の家族はスクワランオイルを使っています。親水性がよくサラリとしているのでいいみたいです。
ワセリンは化学合成して作られているので長期の使用で油焼けすることもあります。
他の保湿剤もベタベタ塗ると毛穴を塞いだり、かえって埃がついたりしますので、常に皮膚を清潔にすることが何より大切だと考えます。
2 思春期〜成人
小児期のアトピーは、胃腸の働きの不調和によるものが多いのですが、思春期から成人になると少しこじれて様々な要因が絡んできます。
それまでの治療や生活環境、食生活、女性の場合生理や妊娠・出産等にもよるのですが、その人の弱い部分(東洋医学では五臓六腑)を
正常な状態に導き、局所の痒みを取る手技を施せば少しずつ症状は緩解していきます。
最初に記しますが、こじれてしまった成人のアトピー性皮膚炎は100%完治することは難しいです。
でも、治療を続ければ今より楽に生活できるようになるはずです。「痒みの為に眠れない」とか「仕事を続けられない」というようなことから早く安全に逃れられるよう考えています。
ポイント
※
信頼できる医師にかかる
西洋医学を全て悪く言う人がいますが、それは間違いです。先生の治療方針と自分の考えをよく話し合いましょう。
良い先生との出会いは「恋人を捜すようなもの」に近いです。先生とよく話し合って、それでもうまくいかないなら転院もよいでしょう
(治療を受けてすぐはダメ!治療結果が出るのには少し時間がかかることもあります)。
あなたに合った治療をしてくれる先生はきっといます!アンテナを張ってじっくり探しましょう。
※
自分の食べてはいけないものを把握する
血液検査やパッチテストでアレルゲンを知ることは重要なことでし参考にもなります。
また、アルコールやチョコレートはある種の興奮剤ですので身体に熱を持たせて症状を悪化させるので良くありません。
私の妻もアトピーなのですが、悪い油を使った料理を食べると必ず悪化します。「口に入れた瞬間わかる」そうです。
これは個人個人で違いますので、何か変わった物を食べて調子が悪かったら、それをメモしておくといいですね。
※
今まで長期に渡ってステロイド剤を使用している方は、自分だけの判断で急に使用を中止しない
激しいリバウンドが予想されます。場合によっては白内障になったり網膜剥離を引き起こす可能性もあります。
はり治療などで症状が落ち着いてくれば、主治医の先生が弱い薬に変えてくれたり、薬の使用回数も減ってきます。
※
自分に合ったスキンケアを見つけよう
スキンケアは別に記します。
血液検査の読み方(参考・ステロイド依存、深谷元継著)
アトピー性皮膚炎の血液検査には病勢の把握を目的としたものと、抗原(アレルゲン)を検索するためのものがあります。
病勢の把握を目的としたものは、好酸球数・LDH・IgEといったものです。抗原を調べるものは、抗原特異的IgEやHRT(ヒスタミン遊離試験)などがあります。このうち病勢の把握を目的としたもの、特にIgEの読み方について気をつける点を記します。
@IgEの高い低いは、患者間の重傷度の比較に役立ちません。
高い人は3万〜4万の値になることもあるし、低い人では10いくつといったレベルになる。しかし、IgEの高い人が低い人より症状がひどいかというとそうでもありません。
Aステロイドを止めるにつれ、一般にIgEは急上昇します。
数100ぐらいだった人が1ヶ月後に1万〜2万となることもあります。ステロイドで抑制されていた部分が跳ね上がって上昇するのだと思われます。
もっとも、もともと低い人は皮膚のリバウンドがひどくても低いままのこともあるので、皮膚のリバウンドの程度と必ずしも一致しない。
Bステロイドを中止して急上昇した後、IgEは数ヶ月〜数年かけてゆっくりと低下していくことが多い。また、この時にアレルゲンの暴露されると皮疹の悪化と共にIgEは再上昇するようです。
ステロイドを全く使っていない場合や、脱ステロイド後十分な期間を経た後には、アレルゲンの暴露が続いているかどうかの参考になります。
ステロイド使用中はその薬の影響を受けるためあまり参考にはなりません。
C乳幼児は成長につれてIgEは上昇する。だから、アトピーの乳幼児がアレルゲンからうまく回避されているかは、成人よりもIgEからは判断が難しい。生後3ヶ月〜1才までの健常児の平均値が26であるのに対して、1才児は67、2才になるとほぼ成人と似たような値(200前後)になります。
3 なぜ痒みが起こるのか?局所編
西洋医学的なメカニズムは専門の先生にお任せするとして、ここでは東洋医学から見た痒みの発生メカニズムをお話します.
口から入った飲食物は胃腸の働きにより、陰気(引き締め冷ますエネルギー)と陽気(活動的な熱エネルギー)が作られ全身に廻ります。
胃腸は食べたものをエネルギー変える工場と考えてください。工場の働きが充分でないと、身体に必要なエネルギーが作れなかったり、
偏ったりします。
胃腸で作られた陽気はツボの道(経絡)を通って全身を廻ります。 そして、体表の毛穴から汗と一緒に発散し、寒さに遭うと毛穴を閉じて
寒さから身体を守ります。
何らかの原因でバランスが崩れ、正常でない陽気が毛穴から発散出来ずに皮膚の下に停滞すると、湿疹や痒みを引き起こします。
アトピーに限らずニキビや吹き出物も原因は異なりますが、症状の現れている局所では同じような仕組みで起こるのです。