小児疾患

3 セキ、喘息
小さい子供のセキ、喘息、呼吸器疾患は肺や胃腸の働きが弱いため・腎の成長にムラがあるため(東洋医学では、子供は発育途上にあるので腎が未熟なのは当然と考えます)に起こることが多いです。
肺タイプの身体的特徴は、色白、肌のきめが細かい、背中などにうぶ毛が多い、皮膚が敏感で虫などに負けやすい、カゼをひきやすく扁桃腺が腫れやすい、などがあげられます。
これに、胃腸の働きの不調和が加わって、体の中の水分代謝が悪くなって喘息が起こります。

アトピーの所に記したように、胃腸で作られたエネルギーが全身に巡れば問題ないのですが、胃腸の働きが充分でなく、水分代謝が悪くなると、オーバーヒートしたような熱が出ることがあります。
その熱が肺や気管支の熱となって喘息発作を引き起こします。

みなさん!アレルギーマーチって聞いたことありませんか?
喘息が治まったらアトピーが悪化した、とかアトピーが治まったら喘息発作が起こったとか・・・。
これは、正常でない陽気が皮膚の下に溜まったらアトピーを発症し、呼吸器系に及んだら喘息になるようです。
実際の治療では、正常でない陽気が少なくなるような根本治療(経絡治療で体質改善)し、アトピーなら皮下の熱を抜く治療を、喘息なら呼吸器系の熱を冷ます治療を組み合わせて行います。

6才から上になると体質も個人個人変わってきます。
肥満で喘息のある子は腎の働きが弱ったために、やせ形で冷え症の子は肝の働きが弱ったために、肺に熱が多くなり喘息が起こるのです。

喘息は肺(気管支も含む)の熱と考えます。全身にスキンタッチしたり乾布摩擦などで皮膚を丈夫にしてあげるといいでしょう。
また、症状の落ち着いている時には持続的に弱い負荷のかかる運動(例えば山歩き、サイクリング、カラオケなど)をして、呼吸器系を鍛えるのも必要かと思います。

私事ですが、小さい頃喘息持ちでした。幼稚園は半分近くお休みしたし、小学校1年の時はよく保健室で寝てました。
そんな私ですが自転車に乗るのは大好きで、小2の時新車を買ってもらってからは、毎日日が暮れるまで走り回ってました。
親や学校に内緒で遠出するようになり、症状も少しずつなくなっていきました。
呼吸器系の鍛え方は個人個人によって向き不向きがあるでしょうから、その子に合ったやり方を見つけてあげましょう。

喘息発作が特にひどい場合や、セキでもカゼなど流行性の熱病にかかっている時は迷わず専門医を受診して、適切な処置が必要です。治療が送れて肺炎になると大変です。(小さい子供さんやご高齢の方は抵抗力が落ちていて肺炎になりやすいため)
病名がわかっていて、解熱時なら小児鍼やスキンタッチは有効です。
また、ホコリや空気の汚れている所を避けるのは基本ですが、食べ物にも注意してください。
暴飲暴食を避けて、特に体温より冷たい物は、胃腸の働きを低下させるので厳禁です。


2 おねしょ
「おねしょ」は「かん虫」の症状の一つとしても現れますが、体質的に腎の働きが弱い子供に多く見られます。
子供は大人と違い未発達です。小さい子供はみんな腎も働きが弱いともいえますが、その中でも体質的に腎が弱いと冷えやすく「おねしょ」になりやすくなります。
腎が弱いと足から腰、下腹が冷えやすいので、ご家庭では全身スキンタッチしてから、ヘヤドライヤーで足、腰、下腹を暖めるとよいでしょう。

小学校4,5年生でおねしょする子もいます。
そんな子供たちに多い共通点は、成績優秀、スポーツ万能で責任感が強く、クラスでは何かの委員になったりとにかく人気者です。
そして、運動クラブに所属していたり学習塾と大人より忙しい日々を送っています。要するに疲れているのです。
周りの期待に応えることや、成果を出すことに満足していますので、疲れを自覚していない子もいます。
ちょっと頑張りすぎかな?と思ったら、習い事を1つ減らしてみるのもいいかもしれません。

おねしょをする時間帯がわかっていれば、少し前に目を覚まさせて(夢うつつではダメです、しっかり目を覚まさせてトイレに行ったと自覚させることが大切です)トイレに行かせます。
一晩に何回もあるのは重症です。まれに膀胱などに問題のある場合もありますから、気になるようでしたら一度専門医の診察を受けることも考慮しましょう。

「小児はり」の対象年齢は生後3週間から小学生ぐらいまでです。大人の鍼と違って金属製のヘラや棒で優しく撫でさすって治療します。
子供は敏感なので、優しく撫でさするだけで驚くほど効果がでます。
子供は急速に発達する過程にあり、脳は見るもの聞くことを理解しようと発達しますが未熟です。体内の諸器官の発達にもムラがあります。
そのためにバランスが崩れていろいろな症状が現れてくるのですが、小児も大人と同じで体質的な症状を現す傾向があります。
4 中耳炎
小さい子供は、チョットしたことで体調を崩しがちです。
中耳炎は、肺タイプの子供がなりやすい傾向があります。
肺タイプは、色白で皮膚のきめが細かく、産毛が多く、風邪をひくと扁桃腺が腫れやすい、運動していると調子が良いのが特徴です。
このタイプの子供が、熱病になったときや何かの原因で、耳の周りのツボの通り道に熱が停滞したために、中耳炎は起こります。

少し大きい子供さんなら、耳が痛いと訴えますが、小さい子供さんは訴える術を知りません。
でも、よく見ると、痛いところに手を当てて泣いていたり、悪い方の耳を布団に押しつけて寝ていたりします。
中耳炎かな?と思ったら一度専門医を受診することをお勧めします。
そして、「小児はり」や「スキンタッチ」を併用すると治りが早くなります。

「小児はり」では、東洋医学的に考えて、今風邪がどの段階まで進んでいるかを見極めて、例えば皮膚の表面・浅いところにあるのか、もっと進んで胃腸に影響しているのか、さらに治りかけている段階なのかを判断して治療します。
全身を小児はりで優しく治療して、働きの弱っている五藏六府を整えて、耳の後ろから直接熱を抜くこともあります。

「スキンタッチ」でも、全身を優しくさすってから、手足にある熱の溜まっているツボの通り道を使って治療します。
具体的には、手の人差し指の爪の際で親指側・薬指の爪の際で小指側を術者の爪でキュッキュッと刺激してあげます。
かん虫特有の症状
・目の白玉が青い
・鼻の下が赤い
・顏色が白い
・表情がこわばっている
・寝付きが悪い
・眉間に青筋
・頭の髪の毛が逆立つ
・食欲がない
・目を開けて寝る
・人差し指に血管が浮いている
1 かん虫
かん虫の症状はキーキー叫ぶ、夜泣き、チック症状、重症になると人に噛みつきます。
体質的には肝タイプの子供に多い症状です。
肝タイプは物事をキッチリする性格で、それができなかったり、思っていることが上手に相手に伝えられなかったりするとイライラしたり、頭に血が上って興奮しかん虫症状を現します。
また、おむつを取る時期が早すぎたり、弟や妹が生まれたことがききかけとなってかん虫がでることもあります。
赤ちゃんは母親からお乳をもらい、大小便の世話をしてもらい、胸に抱かれ安心して成長します。
ところが、この乳幼児の時期に「母親の胸」という頼りどころがなかったり、排便のしつけや離乳の時期が早かったりすると、情緒不安定な状態になり、吐乳・便秘・夜泣き・引きつけなど「かん虫」と呼ばれる症状を現します

次ぎに3、4才になると心の中に自立心が芽生えてきます。しかし、一方ででは完全に成長していませんから両親に甘えたい気持ちも強くあります。
この2つの心の葛藤に悩む子供にはやはり様々な症状だ現れてきます。夜尿症、チック、偏食などです。
子供の脳はすごい勢いで発達していきます。しかし、思っていることを上手に相手に伝えることが出来ない場合があります。言葉で伝えるには限界があるので充分伝わりません。でも、逆に考えればそれだけ脳の成長が早いとも言えます。

生活環境の変化では、弟や妹が生まれたことによって、今まで自分が一番だったのに、生まれてきた子に大切な親の愛情をすべて持って行かれたような錯覚を感じ、でも「お父さん・お母さんは大好きで、生まれてきた子も好きで・・・もっと自分も甘えたい」と思うようになり、そうして心の葛藤がおねしょやかん虫として現れてきます。
目で見て分かる身体の特徴は、目の白目の部分が青味ががる・眉間に青筋・髪の毛が逆立つ・表情がなくなるなどです。

「小児はり」では全身を優しく撫でさすり、特にかん虫の子供さんでは手足の肝・胆に関係するツボの通り道(経絡)を重視し肝の働きを調整します。肝の働きが良くなるとイライラしにくくなります。
それから肩や首、頭をチョンチョン刺激して上っている熱を抜きます。
大人でもイライラしたり頭を使いすぎると偏頭痛がしますよね?あれに近い状態なので、その熱を取ってあげるわけです。
1回の治療時間は5分〜10分まで。やりすぎると子供は疲れてしまいます。
お近くの鍼灸院でも受けられますが、何と行ってもお母さん!そうお母さんが一番の名医なんです。
リンク先の「スキンタッチ」がお役に立てるはずです。「スキンタッチ」をしてあげることで子供の心は「あ〜やっぱりお父さん・お母さんは僕(私のことを愛してるんだ!」と穏やかになり症状もなくなってきま。
それでも困った時はご一報ください。
小児はりの種類
左から
 銀製のヘラ型
 スチール製の球状(皮膚に当たる部分)型
 金製の棒状型
 その他、ローラー式のものなどがあります
なぜ「小児はり」は撫でさするだけで効くのでしょうか?
西洋医学的には交感神経と副交感神経の働きで説明できます。
身体や精神機能を興奮させ活動的にさせるのが交感神経の働きです。抑制させ鎮静させるのが副交感神経の働きです。
小児はりで優しく撫でさすると、副交感神経の働きが優位になり、興奮から冷め全身がリラックスして大人しくなります。
東洋医学的に見ると、身体には300以上のツボがあります。ツボの一つ一つは脳や内臓につながっているので、身体を走行しているツボの道(経絡)をさすることで気の巡りが良くなり、脳や内臓の働きが良くなり、バランスがとれて精神的・肉体的発育を促進するので症状は消えていきます。