妊娠初期(着床から23週まで)
  子宮に卵が着床し、胎盤が完成するまでの時期です。
  流産が起こりやすい時期でもあり、特に6〜12週までは注意が必要です。
  15週を過ぎると安定している時期に入ります。
  起こりやすいマイナートラブル
  ・つわり 
  ・月経様出血
  ・頻尿

 つわり
  つわりは妊娠によって起こる「むかつき」「嘔吐」「食欲の低下」「胃の痛み」をいいます。
  特に朝起きたすぐあとに起こりやすいのが特徴です。
  5〜8週で始まり、この時期の50〜80%の妊婦さんにみられます。

  西洋医学的には、胎盤から分泌されるホルモンによって脳の嘔吐中枢が刺激されることによって起こる、
  また精神的ストレスによると考えられていますが、はっきりとした原因は不明です。
  
  東洋医学的には、お父さん・お母さんの精が合体し、新しい生命(胎芽や胎児)が宿ると、
  子宮=下腹には熱エネルギー(陽気)が多くなります。
  熱は上に昇ったり、周りに伝わるので、胃にも熱を持ちます。 この熱のために食欲不振や気分が悪くなることが
  あります。
  鍼灸では、胃腸の働きを整え、胃にある余計な水分(痰飲)を少なくするようにして症状の軽減に務めます。
  新しい生命の力を感じる陽気(熱エネルギー)ですが、つわり というお母さんを悩ます症状として現れることが
  あります。
  たとえば、妊娠中に酸っぱいものが欲しくなるのも、酸味を摂ることで熱を冷まそうとする自然な欲求だと
  考えます。
  
  つわりも、まったく食事がとれない、水も飲めない状態なら専門医の治療が必要です。
  脱水症状となり、母子の生命にかかわるため、速やかに病院を受診し、適切な処置を受けてください。
  また、20週を過ぎても治らない場合は、他の消化器疾患の場合があります。
  消化器科の受診をお勧めします。

  対処法
  お腹が空くとひどくなりやすいため、食事の回数を分けて摂取し、空腹にならないようにしましょう。
  食べやすいビスケットなどを枕元に置き、朝起きたときに食べ、20分〜30分後に活動すると つわりが楽になります。
  症状のひどいときは無理して食べず、食べたいものを好きなだけ食べてください。
  サッパリしたものや冷たいものなど口当たりが良いものが食べやすいでしょう。
  赤ちゃんは生命力が旺盛で、母体から必要なだけ栄養をもらって大きくなります。
  食べられるようになってからバランスのとれた食事をしましょう。
  つわりは20週にはよくなるので心配ありません。
  好きな趣味のことをしたり散歩したりして、気をまぎらわせ穏やかに過ごしましょう。

 月経様出血
  
妊娠初期にによくみられます。
  月経の予定日頃に少量の性器出血がありますが、月経と比べて量も少なく1日〜3日と短い期間になります。
  西洋医学的に詳しい原因は不明で、流産の兆候でなければ自然に止まります。

  東洋医学的には、1ヶ月目に胎児を養う「肝経の収斂する働き」の低ガにより、血を子宮に留める力が弱いと考えます。
  肝の収斂の力を強めるツボに金の?鍼(刺さない鍼)を用います。

  下腹部の痛みや張りがあるときは切迫流産の恐れもあります。
  出血量が多いときは異常の可能性が高いため受診しましょう

 頻尿
  
頻尿とは1日10回以上排尿することをいいます。
  妊娠初期と後期に起こりやすくなります。
  妊娠初期は大きくなった子宮が骨盤内にあり、近くにある膀胱や尿道を刺激するために起こります。
  また、腎臓の血流が増えることやホルモンの影響も考えられます。
  妊娠後期は赤ちゃんの頭が降りてきて膀胱を圧迫するために起こります。
  尿意を度々感じ、、1日の尿の回数が増えます。1時間ごとにトイレに行く方もいます。
  我慢すると膀胱炎や腎炎のリスクが高まるため、尿意を感じたらすぐにトイレに行きましょう。
  特に膀胱炎や腎炎にかかったことのある方は再発しやすいので注意が必要です。
  排尿の痛みや尿量減少や濁り、発熱があれば速やかに受診しましょう。

  対処方法
  頻尿に効果的なのがキーゲル(ケーゲル)体操です。
  キーゲル体操は2つの体操からなります。
  ・一つ目 排尿の途中で排尿を2から3回止める運動で、落ち着いてトイレでできるときに試してみましょう。
  ・二つ目 膣の入り口を3秒間意識して閉め、3秒間緩めることを繰り返す運動です。
        家事の合間に休憩するときなどいつでもできます。
  骨盤底筋を鍛え、産後の尿漏れにも効果的です。
  また、夜間にトイレに起きて疲れているときは昼寝をするなど休息をとりましょう。