妊娠後期(37〜41週)
  
お産を控え、赤ちゃんに逢える期待感・楽しみと、お産に対する不安が入り混じる時期です。
  子宮がさらに大きくなり胃を圧迫して胸焼けが起こるなど、マイナートラブルが多くなる時期でもあります。
  上手に対応して心地よく毎日を送り、お産に望みましょう。

  この時期に起こりやすいマイナートラブルは
  ・こむら返り
  ・便秘
  ・逆子    そして、予定日を過ぎてのお産
                   
 こむら返り
  
ふくらはぎが急に痙攣し痛む事です。
  寝ているときに足をのばしたり、寝返りをうったときに突然強い痛みが起こり目が覚めることもあります。
  
  西洋医学的には、よく歩いて足が疲れたときや緊張した姿勢でいると起こりやすくなります。
  特に妊娠後期は子宮が大きくなることや体重が増えるため、足の血管を圧迫して血液の循環が悪くなり  ます。
  また、カルシウムの不足など電解質バランスの乱れも原因となり、こむらがえりが起こります。

  東洋医学的には、足の疲れや冷えが原因のことが多いです。
  また、32週からは腎のツボの流れが、36週からは膀胱のツボの流れが胎児を養うのですが、
  どちらのツボの流れも足のふくらはぎあたりを通ります。
  腎や膀胱のツボの流れが頑張って胎児を養っているときに、足を冷やすと こむらがえりになります。
  
  対処方法
  長時間の歩行や立ち続けることは避け、歩くときは足の裏全体で身体を支え、足の負担を軽くしましょう。
  家事や買い物も休みながら行ってください。
  お風呂では湯船に浸かって足の血行を良くし、寝るときはクッションなどで足を高くして休むと血液の循環が
  良くなります。
  足を冷やさないようにレッグウォーマーなどを使用し冷えを予防してください。
  お灸の代わりにドライヤーを用いた足へのスキンタッチや、足首の運動など妊婦体操も効果的です。
  こむらがえりが起こったら、そっとふくらはぎをマッサージし、足首の曲げ伸ばし運動をすると楽になります。
  食事はカルシウムの豊富な小魚や海藻類を積極的に摂りましょう。
  甘いお菓子やジュースは血液中のカルシウムを低下させるため控えることがポイントです。

 便秘
  
妊娠すると多くの方は便秘になります。
  西洋医学的には、胎盤から出るホルモンの影響で、腸の動きが低下するからです。
  また、自律神経も不安定になりやすいため便秘が起こります。
  妊娠初期は つわり により食事量が減るため便秘気味になり、妊娠後期は大きくなった子宮が
  腸を圧迫するために特に便秘になりやすくなります。

  
対処法
  妊娠初期の便秘は、つわりがよくなり食べれるようになったら、1日3食規則正しく食べましょう。
  特に朝食は排便のリズムをつけるためにも必ず摂りましょう。
  
  妊娠後期も含めて、睡眠も充分にとることで、寝ている間に食べたものの消化が進み、翌朝の排便が
  スムーズになります。
  食物繊維の豊富な野菜やイモ類、果物や海藻類もいいでしょう。
  便意があれば我慢せずにすぐトイレにいくことも大切です。
  散歩や買い物でしっかり歩き、家事で身体を動かし、合間に妊婦体操を行うなどして運動不足を解消し、
  腸の動きを促しましょう。
  それでも効果が無い場合は医師と相談して下剤の服用を考えてみましょう。

逆子

  上の図にもあるように、着床してから出産するまで様々なツボの流れ(経絡)が胎児を養っています。
  そして最後の2ヶ月は腎と膀胱のツボの流れが胎児を養うのですが、ここの流れが滞るとその前のツボの流れも悪くなり
  ます。
  わかりやすい例として、水道のホースの先をつまんで流れを止めると、ホースの中全ての水の流れが悪くなります。
  こんなとき、ホースの先をつまでんでいた指を開放すると水は勢い良く流れ出します。
  逆子の場合も、出産前の胎児を養っている膀胱のツボの流れの中で、一番後ろのツボ(至陰穴)を使い  ます。
  ポイントとしては、まず子宮につながっている三陰交穴に補法のお灸を施し、子宮を温めやわらかくした後、至陰穴に少し
  熱いお灸でツボの流れをよくします。
  お灸した日によく胎動を感じる場合は位置異常が改善する確立が高くなります。毎日のお灸がさらに効果を高めます。
 
  逆子には拭き掃除が良い!
  胎児のお尻がお母さんの骨盤にスッポリ入り、動きがとれないときは、雑巾がけの要領で拭き掃除することを
  おすすめします。
  雑巾がけは逆子体操に良く似た姿勢(両手を地に着け、お尻を高くあげる)でしかも動きがあるため、
  お母さんの骨盤にはまっている
  胎児のお尻が抜けやすいのです。無理のない程度でお試しください。

 ※逆子で首に臍帯を巻きつけている場合など、母体と胎児に危険が及ぶ恐れがある場合は専門医に任    せます。

 予定日を過ぎてのお産
  予定日を過ぎても生まれない場合、母体と赤ちゃんのことを考えて1〜2週間ぐらいの経過観察のあと、
  陣痛促進剤等を使用することがあります。
  分娩予定日は最終月経から算出された目安です。最終月経の後の排卵日が遅れたことによる予定日算出に誤差が
  出た可能性が大きいのです。
  産婦人科の医師は、児頭の下降の様子や子宮口の様子、分泌物の様子でお産が近づいているか判断できます。
  医師に状態を聞きながら焦らず待ちましょう。
  東洋医学の考えでは、逆子の項にも書きましたが、胎児を最後に養っている膀胱のツボの流れが滞っていると
  考えます。
  母体や胎児を考慮し、治療可能であれば至陰穴にお灸をします。逆子のときより少し多めにすえるのがコツです。