KOE9603
残念な県議会の「国籍条項」決議
1996/03/2* 高知新聞「声」欄
県の一般職職員採用についての国籍条項撤廃問題で、高知県では知事が撤廃推進の立場、自民党などが反対の立場をとっている。96年度実施については5月の県人事委員会において撤廃が見送られた。この決定にいくらか影響したと見られる県議会の「国籍条項撤廃見送り決議」に対し、わいは批判の投稿をしました。
21日、県議会は「国籍条項撤廃に関する決議」を自民党の単独提出、単独賛成で可決した。この決議は実質的には「撤廃見送り決議」であり、この間の議論に注目してきた者として非常に情けなく、残念でならない。
本問題については15日付け本欄の「国籍条項撤廃で高校生の考え」の明快かつ頼もしい主張にあるとおり、そもそも国籍条項などこれまで存在してきたこと自体がおかしいのだ、と私は思う。
今回の決議の主張は、要するに以下の二点である。第一に自分たち議会は撤廃の趣旨を理解しているが、自治省に逆らうのは得策でないという点。第二に県民の理解が不十分であるという点。
まず自治省がいう「当然の法理」の根拠の希薄さについては既に識者から指摘済みである。それを振りかざす自治省の態度は、内容のない脅しそのものである。
次に第二点。私の理解では国籍条項とはすなわち差別条項である。自分たち議員は理解しているが、県民の理解が足りないというのが、差別に手を付けないことの理由になるだろうか。このようなヌエ的な態度は民主主義にかなうかどうか、私は腹立たしくてしようがない。
国籍条項撤廃が門戸開放の対象として想定している在日韓国・朝鮮国籍の若者は、日本国籍の若者と同様に大半が日本で生まれ育ち、同じ地域社会に暮らしている。このような人々に対する就労の場におけるあからさまな差別はもうやめてほしい。
ましてや彼らはかつて祖父母の時代に国を奪われ、日本人の一員とされ、民族名まで奪われた揚げ句に、戦後は一方的に「外国人」とされた経緯もある。この期に及んで県が万一にでも「撤廃見送り」などという選択をしてしまうなら「理解が足りない」とされたわれわれ県民は終生浮かばれないのではないだろうか。
(いとえー補足:「終生浮かばれないよ」はHIV薬害問題で某元副学長がはいたとされるセリフ。もうちょっと流行ると思ったんだけどなー(^_^;)。)
====国籍条項撤廃に関する決議(要旨) 96.3.21 高知県議会====
県職員採用試験の受験資格から国籍条項を撤廃しようとする知事の方針は、国際化の流れに対応した地域社会のあり方について示された見識であり、知事の基本理念に基づくものとして趣旨を理解する。
しかし、知事と自治省との間に見解の相違があり、知事の方針を契機に自治省は、撤廃した自治体に対し人事上適切に運用していくよう指導方針を固めている。また、都道府県レベルでも公務員制度の根源にかかわるものとして見解が分かれている重要な問題であり、県民の理解も十分得られていない今、あえて撤廃の方針を貫くことは適切でない。知事は、この問題の取り扱いに十分に慎重を期して引き続き国の理解を得るよう強く求める。
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