KOKUSEKI

ドイツ国籍法改正に思う

2000/06  高知新聞「声」欄不採用

ドイツにおける国籍法改正の動きについては昨年9月21日付の「脳味噌煮込みうどん」で書いた。この文章に少し手を加え、この6月に行われた衆院戦の最中、森首相の「神の国発言」と絡めた主張として、高知新聞に送ってみたのがこれ。
選挙戦中の時期なのに露骨な主張。しかも他の雑誌記事からの引用が全体の半分を占めるような文章。採用されるわけがないと思っていたが、やはり採用されなかった(^_^;)。

わが国ではあまり知られていないが、ドイツでは今年から新しい国籍法が施行されている。国籍法における従来の「血統主義」を「出生地主義」に改めたのである。これについてある雑誌はこう書いている。
シリー内相は連邦参議院の最終審議の場で、改革はドイツの国籍法をヨーロッパ的水準に引き上げ、ドイツの社会的平和を強化する措置、と述べている。同内相によれば、これによってドイツでも国民の概念がより現実に近いものとなる。国民という観念は民族的均質性に依拠すると考えるのは幻想であり、社会的まとまりは共通の言語や地理的な境界、あるいは統一的な宗教だけではけっして達成できない。開かれた現代的な国民の概念は、平和的に共存しつつ共同で未来を建設していこうとする意志、さらに自由な社会の基本である諸価値への忠誠に立脚しなければならない。その意味で、新国籍法は「異なる文化の、豊かで平和的な共存の基礎」となる。
(ドイッチュランド日本版No.4/99)
国籍法において血統主義を採用し、その是非論すらめったに聞かれない日本。「天皇を中心とする神の国」などと、民族的均質性幻想に依拠するかのような発言を不用意に行う首相を持つ日本。この国における「国民の概念」のありようは、少なくともヨーロッパ的水準のそれとは、かなり隔たったものであるようだ。
現在行われている総選挙が、「国民の概念」のありようをめぐるこうした現状に変化をもたらす契機になればと、私は思っている。
感想・ご意見はこちら:BXJ05037@nifty.ne.jp

「負け犬の遠吠え」 INDEX ページへ戻る

ホームページへ戻る