IZ-News 04年08月号より
高知新聞コラム「安心病院」の波紋

先ごろ、地元の新聞に載ったある1つのコラムが高知の医療業界に波紋を呼んだ。6月28日の高知新聞夕刊に載った「安心病院」と題するコラムのことである。記事の主旨自体は、県立中央病院と市立市民病院との統合により、高知市中心部から公立病院がなくなることを惜しむというだけのものだった。

だが、記事では、情報公開の点で民間病院が公立病院と同等のシバリを受けないことを理由に、民間病院がたとえ事故などの情報を隠しても、(公立病院と異なり)一般人には手が出せないのではないかという不安を、ある病院で受けたずさんな治療の経験などを引き合いに出しつつ述べたものだから、この記事に多くの民間病院が怒った。とくに、カルテ開示を含む診療情報提供や、医療事故防止の活動に熱心に取り組んでいる民間病院ほど、怒りを強く感じたことだろう。高知市医師会は、コラムを書いた記者と新聞社宛てに公開質問状を出した。読者投稿欄に記事への反論を書いた医師もいる。じつは私も記事批判のメールをこの記者に送った。一応、それなりに丁寧な返事が来た。

さて、このような不用意な記事が迷惑なのは言うまでもないが、ちょっと別の角度から考えることも必要だ。
つまり、たしかに不用意な記事ではあったかもしれないが、この記事が、病院(とくに民間病院)に対する世間のイメージをそれなりに反映しているのも確かだとも言えるのである。であるならば、こうしたマイナスイメージを払拭するためには、医療にともなうあらゆる局面での透明性(トランスペアレンシー)を高めることが、医療側に求められることになる。診療情報提供、インフォームド・コンセントを充実させることが必要だ。また、診療成績を含む医療機関情報の公開(ディスクロージャー)についても検討が必要だろう。病院機能評価の結果なども重要な医療機関情報である。こうした努力を多くの民間病院が行い、それが標準化すれば、「安心病院」のようないいかげんな記事も自然になくなるのではないだろうか。


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