IZ-News 04年09月号より
社会の高齢化と「説明と同意」

今秋11月、防治会は設立25周年を迎える。この25年間の社会の最も顕著な変化というと、やはり高齢化の進展だろう。一九八〇年のわが国の高齢化率(人口に占める65才以上の割合)は九、一%。それが二〇〇五年の推計値では一九、九%と倍増する見込みである。本県の場合は一九七五年ですでに一二、二%。それが今年四月には二五、三%に達しており、さらに二〇一〇年には三五%を超えると言われている。高齢者の受診率の高さを考えても、われわれ防治会の医療(福祉)サービスを受ける利用者の年齢構成がこの25年間で急速に上方に傾斜してきただろうことは容易に見てとれる。

一方、ここ数年の医療文化の変化というと次のようなものだろうか。曰く、患者の権利意識の伸張、知る権利や自己決定権といった考え方の定着、医療事故の頻発にみる医療不信の高まり…。こうした中で医療に透明性や説明責任といったものが、かつてなく求められてきている。しかし、このように求められるものの高度化と、上述の高齢化(=客層の変化)との間でとまどいを感じている医療者も多いのではないだろうか?
つまり、なんぼ「説明と同意」といったところで、患者のコア層は高齢化しており、どれほど説明を理解してくれるのか、と……。

こうした中、少し前のことではあるが興味深い報告を聞いた。医療NPOであるCOML(=ささえあい医療人権センター)が、日常の相談活動から分析した、「患者が医療者に求めるもの」の世代別傾向である。
それによれば、70代以上の年齢層の患者さんが医療者に求めるのはもっぱら「親切・丁寧な接遇」だとのことである。だから、「不親切な対応」というのがクレームの主な内容になる。
これに対し50〜60代の「戦後教育体験世代」の特徴が件の「権利意識の強さ」。この世代の人は結構論理的で、「根拠ある説明」を求める傾向にある。だが、他方、ホンネとタテマエとが往々にして分離しており、例えば、癌の病名告知を、自分に対してはして欲しいが、親に対してはして欲しくないと、矛盾した要求を持っていたりするという。
この下、30〜40代の特徴は情報入手能力の高さである。インターネットを駆使し、医療者が説明する前にすでにその情報を持っていたりする。だが一方で、この世代は豊富すぎる情報に振り回される傾向があり、それゆえ彼らの要求はしばしば「正解を教えて欲しい」というかたちを取る。
そして20代。この世代は全くの「マニュアル志向」で、「こういう時にはどうすれば良いのか?」と、こと細かにいちいち聞かないと安心できないのだとか……。

なるほど。言われてみれば、何となく雰囲気はわかる。そして、こうしたあらゆる年齢階層の様々な傾向のニードに、いつも直面しているのが現場なのだ。これら各世代や色々な性格の個人、それぞれ各々の特質を踏まえた上で、それにうまく対応したコミュニケーション技法が求められる、ということになる。まあ、ホンマ大変ですね、と言うしかない!!

※上記中に引用しているCOMLの報告は、私が記憶とメモを頼りに再構成したもの。文責は私にあります。


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