書籍紹介:「医療監視の実際」「カルテ改ざん」今回は最近読んだ2冊の本の紹介である。
まず「知っておきたい医療監視・指導の実際」(櫻山豊夫著)。著者は東京都福祉保健局の参事。保健所の医師として立入検査(=医療監視)に携わってきた。ご存知の通り、われわれ医療機関は定期的(ときに臨時で)に保健所の立入検査を受ける。本書はその実際がどのようなものであるか分かりやすく紹介する実務書である。だが、2002年に死者数人を出した都内某病院のセラチア菌院内感染事件をふまえて東京都が院内感染対策チェックリストを作成し、都下全病院への緊急立入検査を行い、注目された事例を含め、結核予防、医療安全、セカンドオピニオン推進等々、行政の立場から医療の質と患者の権利向上のために奮闘する様子には、おおいに感銘を受ける。彼ら行政パーソンの取組みにわれわれ医療者がどう応えるか、それが問われるだろう。
次に、「カルテ改ざん」(医療情報の公開・開示を求める市民の会編)。こちらは医療過誤の被害者団体が昨年7月に開いたカルテ改ざん問題についての初の本格的なシンポジウムの記録である。読むと、カルテ改ざんとはかくも多発し、そうしたことを行う医療機関に対し司法がかくも甘いのかと、医療業界の人間としては実に情けなくなる。
医療事故に遭った患者が施設側のカルテ改ざんによって更に事実をねつ造されることは、彼らにとってはセカンドレイプのようなものである。こおゆうことが横行する医療界はたしかに変革されるべきだ。少なくとも、カルテ改ざんが起きる余地のない診療情報管理を、当院では目指したいと思う。