IZ-News 05年07月号より
石の綿と煙の草

ここのところ、アスベスト(石綿)による健康被害がにわかに注目を集めている。きっかけは先月末のクボタの発表である。6月29日のクボタの発表によれば、同社が製造していたアスベスト関連製品の製造にともなってこれまで79人の職業関連疾患死が発生。また、工場周辺の住民に対しても、がんで治療中の3人に見舞金を支払うこととし、さらに中皮腫で死亡した住民2人とも今後補償交渉に入るという。こうした動きが発端となり、その後ニチアス、ウベボード、エーアンドエーマテリアルなど、メーカーの発表が続き、厚生労働省・経済産業省なども調査に乗り出す動きを見せている。
7月7日までに発表された職業関連疾患死亡者数は14社で306人になる。だが、まだまだこんなもんではない。

アスベスト関連疾患の代表は中皮腫・肺がん・じん肺である。これらアスベスト関連疾患は平均して40年前後の潜伏期間がある。早稲田大学の村山教授等の予測によれば、アスベスト関連死のピークは2030年〜2034年で、今後40年間の日本男性の悪性胸膜中皮腫による死亡は約10万人、石綿肺がんはその約2倍と推定されている。
世界と日本はえらい時限爆弾を抱えているものだ。

ところで、肺がんといえば真っ先に想い起こされるのは喫煙である。ハモンドらによる疫学データによれば、喫煙せずアスベストにも曝露していない場合を1とすると、肺がんで死亡する可能性が高くなるのはアスベスト曝露単独で5.2倍。これに対して喫煙単独で10.8倍である。また、両方に曝露すると影響が相乗的になり、肺がん死の可能性は53.2倍にまで高まる。

アスベストは恐ろしい。だが、げに恐ろしきはタバコである。


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