IZ-News 05年10月号より
制限回数を超える医療行為

先月末、「制限回数を超える医療行為」に関し、一部を混合診療として容認する通知を厚労省が出した。医療保険で認められた制限回数を超える一部の腫瘍マーカー、リハビリテーション(個別療法)等が対象である。これらについては、10月1日より新たに患者から自費徴収することが認められた。
この通知の中に何とも不自然な表現がある。

ただし、(腫瘍マーカーについては)患者の不安を軽減する必要がある場合、(リハビリテーションについては)患者の治療に対する意欲を高める必要がある場合(中略)に限り実施されるものであること。
何故わざわざこんなことを書かねばならないのか? それには理由がある。
今回の混合診療容認を決定した中医協(中央社会保険医療協議会)の答申書の中に、こんな1文がある。
(今回の)保険上の取扱いについては、以下の基本的考えに従って整理する。

医療上の必要性がほとんどないことを前提として、患者の要望に従い、患者の自由な選択の下に制限回数を超えて医療行為が行われることが想定されるものについては、当該制限回数を超える医療行為について、保険給付との併用を認める。」

つまり、最初に示した表現は、「医療上の必要性がほとんどないが患者の不安を軽減する必要がある場合」「医療上の必要性がほとんどないが治療に対する意欲を高める必要がある場合」と、言葉を補うことによって理解が可能となるのである。

えらくふざけた話だ。制限回数とはあくまでも「医療保険運用上の基準」だったはずである。制限回数=医療上の必要ではない。それが今回の改訂によって、制限回数を超える医療行為は即、すなわち医療上の必要性がない、気休めだと断じられてしまった。

そして、気休めと承知した上でご自由に患者から自費徴収せよと言う。しかも通知では「本制度の趣旨を患者に適切に情報提供」し、患者に対し「明確かつ懇切に説明」しろと言っている。冗談ではない。誰が気休めと聞いて高い金を払うか?

こういう字面だけのインフォームド・コンセントをお上が強要するってのは、何ともやりきれないものである。


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