コンプライアンス最近目にすることの多くなった言葉の一つに「コンプライアンス」がある。手元の英和辞典で引くと「応諾、従順」となっている。医療の世界では、例えば服薬指導の場面などで以前から良く使われていた。「患者のコンプライアンスを上げる」と言えば、「薬を指示通りちゃんと服用してもらうようにする」という意味である。
一方、世間一般でこのところ使われるコンプライアンスは、もっぱら法令コンプライアンスの意である。つまり法令遵守。企業などの不祥事、特に違法・脱法行為が相次いで社会問題となっている。最近起きているマンション・ホテルの耐震強度偽装問題などは最たる例である。このように企業倫理が問われる事件が数多く起き、こうしたことを防ぐ企業統治(コーポレート・ガバナンス)の一環として法令コンプライアンスが重視されている。企業統治が緩み、法令コンプライアンスが軽視されたところに「事件」が発生し、結果的に企業は信頼を失う。
医療の世界でも法令コンプライアンスは重要だ。医療法や健康保険・介護保険法等の法律、医師法はじめ各種専門資格に関わる法律、その他社会福祉関係の法律はもとより、刑・民法、労働諸法に個人情報保護法、その他様々な政省令、施設基準等に関する告示・通知等々と、医療機関と医療従事者は膨大な法令に取り囲まれて仕事をしている。コンプライアンスが守られず、世間の信頼を損なうことは、先ごろの「患者名簿流用事件」で当院自身が経験したところである。常々忘れてはならない。 また、このようなネガティブな面ばかりではなく、コンプライアンスにはポジティブな面もあるようだ。最近聞いた講演によれば、「法令コンプライアンスと医療の質には正の相関がある」というデータがあるのだとか(出典および詳細失念)……。法令コンプライアンスを病院の活動の中に積極的に位置づけることが医療の質向上に役立つことが示唆される。
思うに、コンプライアンスとは文化であり、体制であり、行動である。
当院でも、今一度コンプライアンスについて一から見直し、あるべき体制と行動計画について考えてみるべきだと思うがどうだろうか?