IZ-News 06年09月号より
位置づけと獲得目標

先日、ある医療マネジメント関係の学会のセッションで、会場からこんな発言があった。

「PDCA ( → ウィキペディア・フリー百科事典「PDCA」の項) の重要性は分かるんですが、P・Dはできても、C・Aにまでなかなか進めないんです。」

この発言に対し、壇上の講師も「そうなんです。それが医療界の問題なんです。」と答えていたので、私はふむふむなるほどそうなのか、と思いながら聞いていたのだが、一方で「それは違うだろう」とも考えていた。

それはつまりこういうことだ。
プランを作るとき、必ず達成目標を決めるはずだ。ならば、それが達成したかどうかのチェックができないはずがない。そしてそのチェックをふまえ、具体的なアクションができるかどうかはケースによるだろうが、とにかく次の一手を考えることが重要だ。

30年近く前の学生時代、私はPDCAなんて言葉は知らなかったが、方針案を作る時には必ず「位置づけ」と「獲得目標」とを明確にしなければならないと、先輩からいやというほどたたき込まれた。「位置づけ」とは目的のことだが、とくに理念・戦略といった、既知で上位の観念との関連を明示した目的のことをさす。そして「獲得目標」のない方針は方針に値しない、さらには「総括」というものが非常に重要だと、徹底的に教えられた。つまり、C・Aの重要性は言うに及ばず、そのC・Aができるかどうかは、実にPにかかっているのである。

こう考えると、「位置づけ」「獲得目標」のない計画(P)は周りにごろごろころがっている。はっきりしない計画のまま何となく実行(D)され、総括(C)がない。企画がうまくいったかどうかの判断が組織で共有されず、責任も問われない。これでは質の向上はおぼつかない。

どんな小さな企画でも「位置づけ」と「獲得目標」を常に組織内で明確にし、実施後の総括を怠らない。われわれは意識的にそうした風土を築いていく必要がある、と私は思うのだが。


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