DPCと慢性期社会保障問題の専門誌、社会保険旬報新年号に「DPCと慢性期」という論文が掲載されている(筆者:池上直己)。急性期の支払方式であるDPCと、慢性期に対する医療区分-ADL区分による支払とを「包括評価」という共通項でとらえ、「包括評価が適正に機能するための要件とは」という観点から、両者の導入経過と現状を検証し、医療政策レベルおよび医療機関レベルそれぞれの今後の課題について検討した興味深い論文だ。
紙幅の関係で本論文の詳細な紹介は省き、個々の医療機関にとっての課題についてのみ触れるが、まずDPCについてはクリニカルパス推進が第一に挙げられている。このこと自体は決して目新しい主張ではないが、パスの役割を標準化達成のためだけとするのではなく、「粗診粗療に対する担保としての役割がある」と述べているのが注目に値する。
慢性包括評価に関しては、データの質およびサービスの質に対する担保のないことが「当面の最大の問題」であり、そのためにQI(Quality Indicators)と呼ばれる各種指標を用いて、病院(病棟)単位での医療の質を計測し、評価に生かすことを提唱している。なお、データの質に対する担保がないとは、レセプトからは医療区分-ADL区分が本当に適切に区分されているかどうか分からないこと、サービスの質に対する担保がないとは、マルメ項目に関しては、どのような医療サービスがなされたか、レセプトからは読めないこと等を指している。で、このように「質の評価」が政策上の目標と考えられる中で、個々の医療機関には、QIを用いた品質改善運動など、サービスの質確保のための活動の推進が求められるのだと言う。
関心のある方はぜひ読んでいただきたい。
また、同記事と同じ社会保険旬報誌に「医療制度改革と地域格差を考える」という新春鼎談の記事が載っている。こちらもなかなか面白い。