POSとともに30年最近読んだ本。といっても非売品である。
本年三月、日本POS医療学会が第30回記念大会を迎えたのを期して、過去29年間の会頭講演を収録した記念誌を発刊した。
同学会の日野原重明会頭は、同学会の過去すべての大会で会頭講演を行っている。これら講演記録を収録した本誌には、過去29年間に及ぶPOSのフィロソフィーの深化発展の歴史が刻み込まれており、読んでみてまことに味わい深い。POSとは、ご存知の通り、Problem Oriented System(問題志向システム)のことである。経過記録へのSOAPの記載を提唱したことなどで良く知られている。
「赤本」としてつとに有名な日野原氏の一九七三年の著書にはこのように書かれている。
「私は日本の医学界が、雑記帳式の古いチャートシステムから、POSという新しいシステムに早く改宗することが、そしてこのチャートを医療担当者がひとしく理解できる様式と言葉で書かれた整理された情報資源の集録に変えるということ、そしてこれにより患者の問題を患者の全体像の中に捕え、ガラス張りの中での合理的なプランニングの中で患者を治療し、また医師自身と医療担当者と患者とを教育することが、なされなければならないと思う。」この一文には、後の電子カルテ、診療録開示、EBM、NBM、それにインフォームドコンセントや、あるいは患者本人の医療への参加などにつながる考え方がすでに示されている。で、事実、会頭講演ではこれらテーマについてもそれぞれ言及されている。
本誌は当院図書室に一冊置いているので、ぜひ一読をお勧めする。
*EBM:Evidence Based Medicine(根拠に基づく医療) *NBM:Narrative Based Medicine(物語に基づく医療)