IZ-News 09年02月号より
4年前の不祥事

少し前の話で恐縮だが、昨年暮れ、当院の看護部職員を対象に、個人情報保護をテーマとして40分ほどの講義をさせていただいた。できる限りスタッフ全員に聴いていただけるよう、同じ内容の講義を4日間行った。
個人情報保護をテーマとして職員研修で話すのは、個人情報保護法が施行された2005年春以来なので、約4年ぶり。この間に職員の入れ替わりも相当数あるわけだから、院内研修の不足を痛感した。

さて、4年ぶりに個人情報保護の話をする機会を得たついでに、こちらも4年ぶりに思い出した。当院の「不祥事」である。2005年3月7日、地元紙の一面トップに当院の「患者名簿流用」問題を伝える記事が大きく載った。「問題」とは、当院の患者名簿を選挙運動に流用したということで、個人情報の目的外使用にあたる。個人情報保護法施行前の出来事ではあったが、個人情報の取り扱いとして不適切であったことにかわりはない。患者は自身の名前や住所などの個人情報を、自身が医療サービスを受けるために提供するのであり、選挙運動に利用されることなど想定もしていないし、ましてや病院から説明もされていない。その情報を本人に無断で流用したのだから、個人情報保護法に照らせば完全に違法である。これは、患者の「自己情報を望まない目的に使用されない権利」を侵害しているから、人権侵害にあたる。現代社会において、個人情報とはそれほどにセンシティブ(機微)で、人権と深く関わり合う存在になっているのだ。わが防治会は創立当初から人権を旗印にしてきただけに、こうした個人情報の不適切な取り扱いを犯してしまったことが、とても悔やまれてならない。

このような「不祥事」というものは、できるならば、世間から早く忘れ去られたい。私たち自身も早く忘れ去りたい。そう思うのも人情のうち。だが、一方で、私は、これを決して忘れ去ってはいけないのだ、と思う。犯した過ちを事あるごとに思い返し、決して再発させてはならないと誓い直すこと。これは、非常に大事なことなのではあるまいか。


mailto:agrito@mb.pikara.ne.jp