IZ-News 09年06月号より
クボタ・ショックから4年

今から4年前の2005年6月29日、毎日新聞があるスクープを報じた。「兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場で働いていた労働者と工場周辺住民に、アスベストによる健康被害が発生している」と。いわゆるクボタ・ショックの幕開けである。

以来、マスコミは、アスベスト問題を連日、さかんに報道し、アスベスト(石綿)という言葉は世間でもお馴染みとなった。翌2006年には「石綿による健康被害の救済に関する法律(アスベスト新法)」が施行され、被害者救済や除去対策など、様々な動きがあったが、あれから4年経ち、今ではアスベストに関する報道もすっかり静かになった。

だが、アスベスト問題は解決したかというと、そんな事はまったくない。新法による救済は現行の労災補償と比べ金額が低く、また、アスベスト肺が救済の対象外とされるなど、極めて不十分なままだからだ。そして何より、アスベストを原因とする疾患の発症は、むしろこれから加速度的に増加していくからである。アスベストによる中皮腫や肺癌は晩発性で、曝露から20〜50年の潜伏期間があると考えられている。ある予測によると、わが国における中皮腫による死亡発生のピークは2030年頃であり、2000年から2039年までの40年間で10万人が死亡すると推計されている。肺癌やアスベスト肺を加えると、被害はさらに増大する。

このようなアスベストの危険性を知りながら、国は長年にわたって規制や対策を怠ってきた。こうした国の責任を追及する国家賠償訴訟が100年の石綿紡織業の歴史を持つ大阪・泉南地域の労働者によって2006年に起こされ、今年秋の結審、来春の判決を迎えようとしている。本訴訟の公正判決を求める署名用紙(→注)が私の手元に届いたので、各部署にもお回しするつもりだ。アスベスト問題の「今とこれから」に関心を持っていただくと共に、署名にも協力していただければと思っている。


注)大阪泉南地域のアスベスト国家賠償訴訟を勝たせる会 http://www.asbestos-osaka1.sakura.ne.jp/kataseru/

mailto:agrito@mb.pikara.ne.jp