DPC、新たな機能評価係数当院では、この7月から入院医療費のDPCによる包括支払が始まっている。DPCにおける医療費は包括評価部分と出来高評価部分、入院時食事療養費からなり、その包括評価部分は、病名と手術の有無などにより決められる診断群分類によって点数が決められる。
DPC包括支払制度にはさらに、「係数」という仕組みが組み込まれている。出来高点数の場合だと看護配置が7対1と10対1とでは入院基本料が異なる。DPC点数では、7対1の病院に対しては包括評価部分の点数を10.05%割り増しすることとしている。この割増率を機能評価係数と言い、7対1以外にも一部の施設基準について定めている。一方、調整係数という係数がある。これは出来高の病院がDPC対象病院に移行した時、従来の出来高計算からDPC方式に算定方式が変わることで収入が大きく増減してしまうことを防ぐための仕組みだ。毎年のDPC調査によって各病院の医療費は、出来高計算・DPC計算の双方が分かっているので、こうしたデータをもとに前年実績から調整係数が医療機関ごとに定められているのである。機能評価係数と調整係数を足したものを医療機関別係数と言い、DPCにおける包括評価部分は医療機関別係数と診断群分類毎の所定点数との積によって求められる。
さて。来年の点数改定以降、この調整係数を段階的に廃止することがすでに決まっている。右記の通り、調整係数はもともとDPCという制度の導入をスムーズに行うための経過措置のようなものなので、廃止は当然だろう。問題は、調整係数廃止にともなって導入が検討されている新たな機能評価係数だ。
現時点で来年の導入が確実視されているのは、複雑性指標、診断群分類カバー率、効率性指標など。あまり聞き慣れない言葉だが、要するに、各病院がどれほど複雑な(=入院日数が長くなりがちな)患者を入院させ、様々な診断群の患者を幅広く受け入れ、なおかつ在院日数を短縮させているか。そういった機能を評価しようというのだ。これら以外にも、来年度の導入が検討されている項目として、救急医療対応体制、診療ガイドライン活用状況、地域医療計画への参画状況などがあるし、さらに来年度以降の検討が予定されている数多くの指標の候補がある。
これら機能に対し、診療報酬で差をつけるやり方というのはいかがなものか? ある意味、露骨な政策誘導とも言える。こうした誘導により、各医療機関の機能が増し、国民が幸せになるならそれも良い。だがしかし、中医協をリードする中央官僚のある種の恣意により、医療機関が右往左往させられる事態も、今後考えられなくはない。「霞ヶ関支配」の一端と言うべきか。
今後、秋から冬にかけ、新たな機能評価係数導入については、より具体的な姿が中医協において見えてくるだろう。また、今月、衆院選もある。大きな争点の一つが「霞ヶ関支配」だそうだ。選挙結果が今回の係数の議論のようなミクロな状況に影響を及ぼすか否か? 色々と気になるところではある。