IZ-News 09年09月号より
意外とすごい、DPC

先月(8月)末、病院のDPC分析担当者を対象とした厚労省研究班主催のセミナーがあり、行ってきた。2日間に10ほどのセッションがあり、メインはDPC分析の方法を学ぶ演習だったのだが、その他、DPCデータの病院内外での利活用についての実例報告がいくつもあり、興味深かった。
中でも、DPCデータを用いた臨床疫学研究について、最近得られた成果が数多く披露され、これが実に興味深かった。その具体例について、院内で紹介する機会があれば、いくつか紹介させていただこうと思っている。

DPC関連病院(DPC対象病院・DPC準備病院)は、今や病床数にして全国の病院の約半分を占めるに至っている。これらの病院が毎年7月から12月の6ヶ月間の退院患者のデータを厚労省に送っている。データに含まれるのは、患者の入退院日、転帰、入退院経路、救急搬送の有無、診断名、併存症、合併症、手術情報など、それにレセプト情報。つまり、使用した薬剤、材料、検査、処置など、すべて日付も金額も含めて分かるようになっている。これらデータはすべてデジタル化されている。だから、任意の術式や診断分類で抽出し、その転帰や合併症、関連処置などの分析を容易に行うことができる。これは実にすごいことなのだ。世界的にもこれほどの量と内容を誇る医療情報データベースは例がない。「世界に冠たる」といって過言ではない。

だが、一方、ちょっと考えれば分かることだが、DPCデータには大きな落とし穴がある。つまり、各病院から出されるデータの質の問題である。日本の医療機関の伝統である「レセプト病名」の問題を含め、現状のDPCデータは、質的にまだまだ問題が多い。各病院から出されるデータがゴミだらけならば、集計結果もゴミと化してしまう。世界に冠たるDPCも、これではどうにもならない。
だから、DPC調査に参加する病院には、この全国的なデータベースの質を守る責務がある。当院も同じ。具体的には、診断名や合併症、様式1の診療関連情報などを正しく、もれなく、精確に入力すること。手間は確かにかかるが、得られる果実は、これまた確かにあるのである。


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