IZ-News 10年1月号より
旧友と会う

先月、県外に住む学生時代の友人が高知に所用があるとのことで二十数年ぶりに会い、酒を酌み交わした。彼は大学卒業後、大阪で会社勤めをしていたが、ある時「40歳で定年帰農する」と思い定め、その計画通り島根県の実家へ戻り、以後林業の仕事に従事しているという、少々変わった人物だ。彼はさらにその後、里山・森林の環境保全活動を行うNPOに関わるようになり、現在その事務局長をしている。暮らしぶりを聞いてみたら、週に4日は森林組合で日給制の仕事をし、あとの3日はNPOで有給の仕事をしているのだと言う。

なにぶん楽しく酒を飲んで旧交を温めるのが本義だったので、話の詳しい内容は覚えていない。だが、彼が話す活動の話のいくつかに、とても共感を感じることができたし、私が医療業界に身をおきながら考えていることととても響き合う感じがした。これにはおそらく次のような理由がある。つまり、彼の里山・森林保全の活動も、私たちのような民間病院が行う医療活動も、ともに地域密着で、かつ地域の人々の健康や生活環境に直接関わり、しかも非営利でありながら民間事業体というビジネスモデルの下で活動しているという共通点があるということだ。

非営利だから基本的には儲からない。だが、事業を継続させねばならないので、日々の努力の大半を活動資金確保のために注ぎ込んでいる。その一方、資金確保のみをあまりにも最優先してしまうと事業本来の目的を見失ってしまう。行き着くところはモラルハザードだろう。この点、公的医療保険に依拠するわれわれ保険医療機関も同じである。お互い苦労するね、ということだ。

それはともかく、個人的には、彼が行っているような里山・森林環境保全活動にも、今後関心を持っていきたいと考えている。何より高知県は山国だ。そして今のご時世、病院機能評価にも「地球環境に配慮している」(1・7・3)という評価項目があるではないか。


※ちなみに、友人の今回の高知での用事とは高知県のNPOが全国のNPOに呼びかけて行った現地スタディツアーへの参加である。彼の話によれば、この業界ではけっこう名の知れた存在なのだそうだ。

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