IZ-News 10年2月号より
オールド・レインコート

先日亡くなった歌手・浅川マキの唄に「オールド・レインコート」というのがある(曲:ロッド・スチュアート)。こんな唄だ。

おまえはかつて荒れ狂う川の
激流に身震いしただろか
注ぐように降る雨の中
旅をした事があっただろか
旅をした事があっただろか

おまえはおいらのような男と
つれだって雪のつもった墓場を
見た事があっただろうか
そうさ人生甘くはないさ
そうさ人生甘くはないさ

だけどおいらはここまで来たのさ
古いレインコート肩に
どんな時でもこれさえあれば
何も恐れる事はないさ
何も恐れる事はないさ

私も物持ちは良い方で、オールド・レインコートならぬ防寒用コートを冬の通勤時、もう25年も着ている。私が病院勤めを始めた当初からの相棒だ。通勤用に使っている帆布製バッグもお気に入りだ。こちらは夏冬通して毎日使っているため、消耗が激しく5年ほどでボロボロになる。そのため、その都度京都のメーカーから同型のものを取り寄せ、今は三代目である。

こうした物どもと、いわば人生の時間を共有していると、浅川マキが歌うように、これら物どもに励まされるという感覚も、たしかに理解できないことはない。

側にいること。医療の言葉でいえばベッドサイドにいること。このことの力について、今一度、思いをめぐらすのも良い。人を励ます力は物にだってあるのだ。ましてわれわれ人間(医療者)にないわけはない。


mailto:agrito@mb.pikara.ne.jp