IZ-News 10年10月号より
鷹の渡り

9月中旬から10月中旬にかけては、サシバなど渡りをする鷹の秋の渡りのシーズンである。よく知られているように、高知市は鷹の渡りのルートとなっている。春と秋の渡りの時期、私は昼食後の歯磨きタイム、ほんの数分間だが、病院の屋上で上空を見上げるのが日課だ。

当院の屋上は観察ポイントとしてはあまり条件が良くないのか、それとも観察時間が短すぎるせいか、なかなか鷹に遭遇できないでいる。だが、時には幸運に恵まれる日もある。先日のこと、東の空から滑空してきた鷹が視野に入り、行方を追っていると、ちょうど私の真上くらいで20〜30羽の鷹が旋回していた。鷹柱だ。大きいものでは100羽を超すというから、これくらいの規模では大したことはないのだが、それでも壮観である。口を濯いで(歯磨き中なので)、もう一度外に出ると、鷹たちはすでに西の空へ去っていた。

日々旅にして旅を栖とす(松尾芭蕉:奥の細道より)。

毎年、春と秋になると日本各地と東南アジアとの間を律儀に往還する彼らは、あたかも旅をすみかとする旅人の風情だ。行きかう年もまた旅人なり。物思う秋である。


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