IZ-News 10年12月号より
実事求是とDPC(2) ―― 典型を選ぶ

先月の本欄で、実事求是(じつじきゅうぜ)について書いた。今回はその続きである。
私のデスクの上には1959年発行というおそろしく古い本が一冊常備されている。当時の中国共産党の運動論についての啓蒙書なのだが、これが案外、組織管理一般に今でも使える。次の一節などはどうだろう?

会議を開き計画を立てることは、指導工作にとって不可欠のものである。だが、それがそのまま指導工作を完全になし遂げたことにはならない。なぜなら、会議を開き計画を立てることは、何をやろうとしているかを示しうるだけで、何をすでに成し終えたか、ということと同じではないからだ。計画を実際化するためには、なお多くの工作をなし遂げなければならない。そのうちもっとも重要なのが、具体的な指導である。一般的な呼びかけだけを重視して、具体的な指導を軽視したり、一般的な呼びかけをもって具体的な指導にかえたりするのは、空理空論である。

さて、そのさい、典型を選ぶことが、非常に重要な意義をもってくる。(中略)典型とは、一般に対して代表性のある個別的な事物である。(中略)典型を選ぶ工作とは、典型の科学的な分析をすすめることである。

さて。先月、私は電子カルテやDPC調査データから得られる情報を分析・活用すること(すなわち実事求是)の意義について述べた。ところで、「典型を選ぶ」とは、まさにDPCの得意技である。個々の症例を同質性をもった診断群に分け、その中から患者数の多い診断群、平均在院日数の長い(短い)診断群、点数の高い(低い)診断群などと、目的に応じ抽出することができる。このようにして典型を選び、次に具体的な対策を考える。ここが実事求是の方法論において、肝腎なところなのである。

※「大衆活動」(李光燦 著、山口一郎 訳、三一新書、1959年)


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