IZ-News 11年08月号より
ボケ型人間とドジ型人間

1999年は医療安全元年と呼ばれている。この年、横浜市立大附属病院の患者誤認事故、都立広尾病院の消毒薬誤投与事故が起き、医療安全の問題が一挙に社会問題化した。その後、行政や医療業界の様々な取り組みが進み、どこの医療機関でも医療安全対策に非常な力が割かれるようになった。その医療安全元年から10年あまりが経った。

先日、「医療安全ことはじめ」という本を読んだ。
この本は、医療安全元年から約10年の時点で、現在行われている色々な医療安全の取り組みや、新しい考え方、課題などについて報告している、いわば中間総括とでもいうべき書である。15の論文から成っている。

この中で一つだけ紹介しよう。
エラーの本質をどう考えるか、という話である。上の図(略)を見て、このテストを試してみてほしい。ボケ型人間か、ドジ型人間か、あなたはどっちだろう? 私はというと、○がついた数は、左側が4つ、右側はゼロ。典型的なボケ型人間だ。

で、ボケ型タイプのエラーはエラー・オブ・オミッション、ドジ型タイプのエラーがエラー・オブ・コミッションということになる。ボケ型タイプのエラーを予防するためにはメモやチェックリストなどが、ドジ型タイプのエラーを予防するためには、一呼吸おいて行動することや指差呼称などが有効であるという。

さて、当院でも現在、指差呼称が推奨されている。現実に、指差呼称には効果があると実証されている。だが、告白すると、私は指差呼称がエラー防止に本当に効果的なのか、心の底のどこかで懐疑的な感じを抱いているところがあった。ところが、上のテストをしてみて気づいたのだが、私が指差呼称の効果に懐疑的な印象を持ってしまっていたのは、おそらく、私がボケ型人間であり、ドジ型タイプのエラーに対してピンと来ないところがあったせいだ。ボケはドジの心を知らない。逆に、ドジ型人間にとっては、指差呼称しなさいと言われると、あぁ確かに心当たりがあると、ピンとくるはずだ。そしてドジはドジで、「ボケの心、ドジ知らず」という面が、おそらくあるに違いない。

私がここで言いたいことは、つまり、こういうことである。
自分の感覚だけを頼りにすると、間違いを犯す、と。
皆さん、お互い気をつけよう。


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