自転車の環境性能3・11以降、自転車が見直されているようだ。大震災時に起きた帰宅困難者の大量発生や、福島原発事故以降の省エネの風潮の中で、自転車への関心が高まっているらしい。そんな中、約20年前のベストセラー「ゾウの時間ネズミの時間」※の中に面白いデータがあるのを見つけた。
欄外のグラフを見てほしい。いろいろな動物が走ったり飛んだりして体を移動させるのにどれほどのエネルギーを消費するかという実験の結果である。どう計測するかというと、動物にマスクをかけさせてトレッドミルの上を走らせ(鳥の場合は風洞の中を飛ばせ)、酸素消費量を計測するのだそうだ。で、実験の結果はというと、図のような回帰直線が得られた。つまり、体重の大きい動物ほど体重あたりの運搬コストは安上がりになる。
このグラフで面白いのは、自転車、乗用車、ジェット機などのデータが同じ座標平面上にプロットされていることだ。これらの「体重」とは、運転者の体重に車体重量を加えたものとなる。さて、自転車の場合、走る動物の回帰直線から大きく下方に外れている。乗用車の場合は逆だ。つまり、自転車は、平坦な舗装路を走る限りにおいては、移動に係る経済性(省エネ性)において動物界の中で並外れている。百獣の王クラスなのだ。で、乗用車はその逆。ジェット機も同様。
獣や鳥と比べると、エンジンなんてものは、省エネ性でまだまだ遠く及ばない。一方、同じ人間が発明したものの中でも自転車の省エネ性は素晴らしい。これは人間が他の動物に対して誇って良いことではないか。……と言うと、何か変だろうか??
※本川達雄:ゾウの時間ネズミの時間、中公新書、1992年
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