IZUMINO-izm 13年06月号より
情報へのリスペクト

個人情報保護について基本的な知識とマインドを有することは、われわれ医療従事者にとって今や必須である。2005年4月の個人情報保護法全面施行以来、昨年までの8年間で、当院では全職員対象の個人情報保護研修を4回開催した。だが、職員にもれなく研修を受講してもらう必要を感じ、とりあえず毎年の新人研修での使用を想定して30分間ほどの講義用パワーポイント資料を作り、今年から講義を始めている。

ここ数年の講義で用い、また今回作成したパワポ資料でも用いているキーワードがある。それは、リスペクト・フォー・インフォメーション、つまり「情報というものへの敬意」だ。この言葉に私が出会ったのは2007年の日本診療情報管理学会。WHO(世界保健機関)の測定・保健情報システム・コーディネーターであるベデルハン・ウースタン氏が講演の中で映し出したスライドの中にこの言葉が記されていた。

リスペクトというと、ふつう、「○○さんをリスペクトしている」などという使い方をする。それが「情報へのリスペクト」とは…。はじめ違和感があったが、やがてこの言葉こそは、患者さんの個人情報をはじめとする診療情報に向き合うとき、われわれ医療従事者が身につけておくべきもっとも必要な姿勢を表すにふさわしい言葉だと思うようになった。患者さんの心身同様、患者さんの個人情報もまたかけがえのない存在である。ならば、それ相応の厳粛さをもって向き合うべきだ。そのことを示すのに「情報へのリスペクト」とは、じつに適切な言葉ではないか。

ということで、以来、個人情報保護をテーマとする講義のさいは、必ずこの言葉を紹介している。聴衆からはそのうち「またか」と思われるようになるかもしれない。だが、「またか」と思われるくらい浸透すれば、こんな有難いことはない。


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