空がこんなに青いとはつい最近、「四大公害病」という本※を読んだ。四大公害病とは、良く知られている通り、水俣病・新潟水俣病・イタイイタイ病・四日市公害(四日市ぜんそくなど)のこと。1940〜1960年代に発症し、過酷な健康被害を引きおこした。被害者が裁判を起こし、いずれも1970年代初頭に勝訴。後の環境行政に大きな影響を及ぼした。本書はこうした四大公害病各々の発症から現在までを簡潔にまとめ、現代の環境問題への教訓を探る書である。公害問題が世間をおおいに賑わせていた1970年代初頭といえば私の少年時代。この頃のことを思い出しながら本書を読んだ。
私の実家があるのは三重県北部。四日市のコンビナート地区から20km足らず。高校卒業までここで住んでいた。1970年代にはわが家の近所でも時々光化学スモッグ注意報が発令されていた。そんな中、ひとつ思い出がある。中学生か小学生だった頃、学校行事で子供たちが講堂に集められ、四日市公害の啓発映画を観せられた記憶だ。映画のストーリーはまるで覚えていないのだが、劇中で流れていた歌がとても印象に残っていて、歌詞もメロディーも鮮明に覚えている。40年ほど前、たった一度しか観ていない映画なのに、よほど私の心の琴線に触れたのだろう。先日、覚えていた歌詞を頼りにネット検索したら簡単に見つかった。「空がこんなに青いとは」という歌(作詞:岩谷時子、作曲:野田暉行)だ。合唱曲として、いまだに歌い継がれているらしい。
知らなかったよいま改めて歌詞を読んでみると、青空というごくありふれた資源がとても貴重なものであること、そしてそれが工場のばい煙によって奪われるのがどれほど哀しいことであるかを、しみじみと感じさせてくれる歌だと実感する。
空がこんなに青いとは
手をつないで歩いて行って
みんなであおいだ空
ほんとに青い空
さて、時は現代。いま、世界で大気汚染が深刻な地域といえば、その代表はお隣、中国だろう。たとえば北京の市民たちがいま「空がこんなに青いとは」を聴いたら、どんな風に心に響くだろう?
もうじき黄砂の季節。彼の地とここ高知との「空のつながり」に想いを馳せながら、こんなことを妄想している今日この頃である。※四大公害病:政野淳子著、中公新書、2013年