IZUMINO-izm 14年05月号より
ライブラリアン魂

風薫る季節。職場では新人諸君の初々しい顔が目立つ。
私は年令のせいか、この季節になると、自身の来し方を振り返ったり、旧い友人たちの消息に思いを馳せたりということがとみに多くなる。そこで今回はそうした旧友の話。

谷合佳代子さん。私が学生時代に所属していた社会運動系サークルの先輩で、私をそのサークルに引き込んだ張本人。以前本欄で書いたように、私はこのサークル活動が起点となり、巡り巡って現在の職場に就職するに至っているので、彼女はいわばその原因を作った人ということになる。

さてその谷合さん。彼女は大学卒業後、大阪労働界を母体とするNPOに勤め、大阪府の委託を受け、府営の産業労働関係専門図書館の司書をしていたのだが、2008年7月、時の大阪府知事橋下徹によるいわゆる「橋下改革」により施設廃館の憂き目にあう。4万4千冊の蔵書を廃棄するというこの施設廃館計画を彼女は「現代の焚書(ふんしょ)」と批判し、同施設を私設図書館として継続させることを決意する。かくて同年10月、彼女が「日本一貧乏な図書館」と呼ぶ大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)が誕生し、彼女は館長に就任する。彼女の闘いは本年2月、高知新聞のシリーズ記事「岐路から未来へ」でも紹介されている。

谷合さんのこの活動の根底にあるのは、記録というものに対する深いリスペクトである。そして、その記録を守るための彼女の努力ぶりと比べると、私など分野こそ病院(診療記録)と彼女とは異なるものの、同じく記録の管理を担当している者としてはてんで良い加減で、恥ずかしい限りである。

以下、2月の高知新聞記事「岐路から未来へ」に載っている彼女の言葉である。

「1人1人の人生なんて短い。死んだら忘れ去られる。でも生きた証は歴史のどこかに必ずあって、いろんな形で脈々と受け継がれていく。それを残していくのが私の役目です。100年後に研究者が見てその意味を知るかもしれない。それって楽しいじゃないですか?」

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