IZUMINO-izm 14年06月号より
WOOD JOB!

先月に続き、私の学生時代からの友人の紹介である。
和田譲二さん。大学卒業後、大阪で普通にサラリーマンをやっていたが、ある時、40歳を「定年」と自分で決め、定年帰農(定年帰林?)と称して島根県の実家に戻った人物である。今は週の半分を地元の森林組合で働き(つまりWood Job、林業の仕事である)、あとの半分は環境保護系NPO事務局長として活動を行っているらしい。彼のフィールドは、近年世界遺産登録された石見銀山遺跡周辺である。

彼は、学生の頃から面白いものを目聡く見つけ出しては楽しむ才能に長けており、流行に敏感で、その分おそらく都会へのあこがれのようなものも強かったんだろうと思う。地方出身者という意味では私も同じだが、全くの野暮天だった私とは、彼は違うタイプだった。反面、都会と地方との間の矛盾に対して強い問題意識を持っていたのだろう。そうした矛盾が戦後日本においてもっとも激しいかたちで現れた成田空港問題(いわゆる三里塚闘争)に彼が関わるようになったのは自然なことだった。私も、彼や彼が所属したサークルの仲間たちの手引きで、三里塚へは何度も足を運んだものだ。

大阪でのサラリーマン生活のあいだ中も、彼の問題意識は変わらなかった。定年帰農を決める少し前、彼が「自前で本を作った」と、エッセイ風の文章を集めた本を3冊送ってきた。タイトルは「木綿のハンカチーフ」「いい日旅立ち」「ホームにて」。いずれも往年のヒット曲の名前だが、どの曲のテーマも「都市と地方」(そして舞台はいずれも鉄道)であり、本の内容を反映している。

そして定年帰農。彼は大都市から地方へ足場を移した。その後、すでに10年以上が過ぎた。彼は今、NPOの事務局長ブログをほぼ毎日更新している。面白いもの好きは相変わらず。島根の田舎から、環境保護やエネルギー問題について発信を続けている。元気だ。彼の元気が、とても嬉しい。

※NPO法人 緑と水の連絡会議 http://www.iwami.or.jp/ohgreen/


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